大阪で開かれる20か国・地域(G20)首脳会議が迫る中、韓国内では日韓首脳会談の開催のめどもつかない現状に、文在寅政権への苛立ちを募らせる報道も出ている。
しかし、「対日関係が最悪」になっているとの見方に対し、韓国政府高官が「同意しない」と、むしろ「歴史問題で一歩も譲らないという意味」(朝鮮日報)の強気の発言を行うなど、事態改善に向けた展望は開けていない。
「すべての政権で韓日関係は順調でなかった」と高官放言
韓国経済新聞は2019年6月10日の社説(訳は中央日報日本語版サイト)で、「大統領府関係者」が「先週末」の記者懇談会で、日韓関係について「両国関係が『最悪』という主張にも同意しない」などと述べたことを批判的に取り上げた。この懇談会については、時事通信などの国内メディアも「韓国大統領府高官」の7日の発言として報じている。
韓国経済の社説では、この関係者が「1965年の修交(編注:日韓国交正常化)以降、すべての政権で韓日関係は順調でなかった」とも述べた点について、「日本で今月末に開催される『G20会議』を控えた状況で不適切であり、事実でもない発言だ」と批判し、対立と葛藤は絶えなかったものの「持続的に友好関係を発展させてきた両国だ」との認識を示した。さらに、記者らに逆に「何を根拠に韓日関係を最悪と見るのか」と問いただしたことに対しては、「その判断力に疑問を抱くしかない」と、その危機感のなさにあきれ気味だ。
6月8日には、朝鮮日報(日本語版サイト)が「G20まであと3週間、韓国政府が認めない対米日中ロ外交の崩壊」の見出しで、「習近平氏訪韓中止、日本との会談も不透明...G20目前に4大国との外交がマヒ状態」と報じた。やはり、先の大統領府高官の発言に触れ、「両国関係の行き詰まりで直撃弾となった強制徴用判決などの歴史問題で一歩も譲らないという意味だと解釈できる」と解説したうえで、こうした雰囲気の中、「韓日首脳会談の開催問題」が進展しない「異例」ぶりを指摘した。