解散風「止んだ」は首相の策? 枝野氏が警戒する「死んだふり解散」とは

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   衆参のダブル選を見送り、消費税率を予定通り2019年10月に10%に引き上げるとの見方が政府・与党内に急浮上してきた。内閣支持率が堅調で、参院選単独でも与党が勝利できる見通しが立った、というのが主な理由だ。

   ただ、過去には首相が解散を否定し続けたあげく、いきなり解散に踏み切った末に野党が惨敗を喫した事例もある。現時点では野党は「警戒モード」が続いている。

  • 本当に「解散風」はやんだのか
    本当に「解散風」はやんだのか
  • 本当に「解散風」はやんだのか

臨時国会冒頭で解散→自民大勝

   解散風が弱まるきっかけになったのが、日本経済新聞が6月9日未明に「衆参同日選見送り強まる 消費増税予定通り」の見出しで掲載した記事だ。これに続く形で、他社からも同様の報道が相次いだ。

   ただ、野党は必ずしもこれを額面通りには受け止めてはいないようだ。例えば立憲民主党の枝野幸男代表は6月10日午後、「与党内で衆参同日選見送り論強まる」の見出しがついた共同通信の記事をツイッターで引用しながら、

「前回1986年の衆参同日選挙は、『死んだふり解散』でした」

と指摘した。

   過去、ダブル選は2回行われている。1980年の「ハプニング解散」と86年の「死んだふり解散」だ。そのうち「死んだふり解散」では、中曽根康弘首相(当時)が解散を否定し続ける中、臨時国会を召集し、冒頭でいきなり解散。自民党は衆院512議席のうち304議席を獲得して大勝する一方で、準備が整わないまま選挙戦に突入した野党は惨敗を喫した。

このままW選なら「立ち直れないくらいの壊滅的敗北」

   足元の情勢をみると、参院選で32ある1人区のすべてで立憲民主、国民民主、共産など主要野党候補の一本化のメドがついたものの、衆院選では289ある小選挙のうち、立憲や国民が候補者を立てられていない「空白区」は150近い。そのため、このままダブル選に突入すれば「野党が立ち直れないくらいの壊滅的敗北」(国民・小沢一郎総合選挙対策本部長相談役)になるとの見方もあった。

   そういった中で解散が先送りになれば、野党としては衆院小選挙区の候補者擁立作業の時間が確保できることになり「渡りに船」だ。だが、そうして衆院選に対する警戒を解いた直後に「死んだふり解散」の再来となれば、さらに野党のダメージは大きくなる。

党首討論か、会期末の不信任案か

   野党が警戒している「節目」は大きく二つだ。ひとつが6月19日にも行われる党首討論だ。12年11月14日に行われた党首討論では、野田佳彦首相(当時)が自民・安倍晋三総裁(同)に対して、13年の通常国会までに衆院議員定数を削減することと引き換えに「16日の衆院解散」を宣言。その後、総選挙で大敗して下野したという経緯がある。

   もうひとつが、今国会の会期末の6月26日だ。これまで野党は、慣例的に通常国会の末に内閣不信任案を提出し、多くの場合は否決されてきた。が、採決を待たずに解散に踏み切った例もある。最近では、00年の「神の国解散」、05年の「郵政解散」などだ。菅義偉官房長官は5月17日の記者会見で、野党による内閣不信任決議案提出が解散総選挙の「大義」になるか問う質問に「それは当然、なるんじゃないですか?」と応じている。このことで野党の警戒感は高まり、野党第1党の立憲は、不信任案提出の有無や時期について明言していない。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

姉妹サイト