BMW・メルセデスに挑むマツダの気概 直列6気筒エンジン開発に賭ける意味は

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   マツダが直列6気筒エンジンの高級FR(フロントエンジン・リヤドライブ=後輪駆動)車を開発中とのウワサは、かねてから自動車雑誌やウェブサイトで騒がれていた。

   こうした中発表された、2019年3月期連結決算に合わせて中期経営方針。丸本明社長兼CEO(最高経営責任者)が「マツダのブランド価値向上のための投資」として、正式に直列6気筒エンジンの開発を表明したのだ。

  • マツダ本社(Taisyoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    マツダ本社(Taisyoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • マツダ本社(Taisyoさん撮影、Wikimedia Commonsより)

ガソリンエンジンだけでなくディーゼルも

   マツダは5月発表の中期経営方針で、次世代商品群のカテゴリーを「スモールアーキテクチャー(小型車)」と「ラージアーキテクチャー(中大型車)」の2つに分け、「商品の魅力、特性を最大限に感じていただくように技術開発を進める」とした。注目すべきは「ラージアーキテクチャー」について「縦置きの直列4気筒に加え、直列6気筒のスカイアクティブディーゼルエンジンとスカイアクティブXエンジンの導入に向け準備を進めている」と認めたことだ。

   ここで言うマツダの「縦置き直列4気筒エンジン」搭載車とは、現行のスポーツカー「ロードスター」を指している。新開発の直列6気筒は高効率のガソリンエンジンだけでなく、ディーゼルもあるというから驚きだ。マツダは「このアーキテクチャーではマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドを含む電動化などパワートレインバリエーションの拡大が可能となる」とも述べており、電動化も視野に入れている。

   さらにマツダは直列6気筒エンジンを縦置きとすることで、FRだけでなく、AWD(全輪駆動=4輪駆動)化も狙っている。縦置きエンジンであれば、左右の重量バランスがよいほか、スバルや独アウディと同じくAWD化のためのトランスファーを一直線にレイアウトすることができるからだ。

V6エンジン主流も...復活の動き相次ぐ

   直列6気筒エンジンはスバルや独ポルシェの水平対向6気筒エンジンと並んで回転バランスがよく、絹のように滑らかに回ることから「シルキー・ストレート6」などと呼ばれるプレミアムエンジンだ。1980年代ごろまではトヨタ自動車と日産も直列6気筒エンジンをクラウンやセドリック、ソアラやスカイラインなど高級車に搭載していた。しかし、ボンネットが長くなる直列6気筒エンジンはスペース効率が悪く、衝突安全性を確保しにくいため、世界的にコンパクトなV型6気筒エンジンが主流となった。

   「走り」を重視して直列6気筒エンジンを生産しているのは世界的にも独BMWくらいとなったが、近年は独メルセデス・ベンツが直列6気筒に回帰。トヨタも17年ぶりとなるスポーツカー「スープラ」の開発でBMWと組み、直列6気筒を復活させた。いずれもV6エンジンにはない吹き上がりと回転バランスのよさを重視し、プレミアムエンジンとして採用した。

どんな味付けのエンジンが出来上がる?

   マツダが直列6気筒エンジンを量産するのは初めて。マツダが世界で唯一量産に成功したロータリーエンジンは、燃費に手を焼いたものの、高速道路などではレシプロエンジンとは異次元のレスポンスとスムーズさを発揮した。かつてロータリーエンジンでスポーツカーや高級車を開発・量産し、近年はスカイアクティブと呼ぶ独自の高効率エンジンで世界をリードするマツダが、今度はどんな味付けの直6プレミアムエンジンを開発するのか。

   世界シェア2%の中堅メーカーながら、生き残りをかけBMWやメルセデスに挑むマツダの行方が今から楽しみだ。

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