自治体で対応分かれる
東京都教育委員会は16年度以降、ピラミッドとタワーを原則禁止しているが、人間起こしは各市区町村の教委の方針にゆだねている。
一部の小中学校で人間起こしをしている品川区の教委は6月5日、J-CASTニュースの取材に、実施の意義を「個人の受け止めだが」と前置きし、次のように話す。
「心理学の技法なので、相手を信頼したり集団の人間関係を作り上げたりするのに役立つ。人間関係を高めようとの狙いで取り組む学校が多いと思う」
練習、本番時は教員が補助に入るなど安全対策は徹底し、これまでけが人は報告されていないという。東京都教委への取材でも、担当者が把握する限り、けが人はおらず、「やめてほしい」といった要望も寄せられていないとした。
ただし、自治体によって対応は分かれる。東京都北区の小中学校では、16年度からタワーとピラミッドに加え、飛行機、トーテムポール、人間起こしなどの技を禁止した。北区教委は「安全面から、土台が立ったままの姿勢で、膝より上の部位で相手を支える技は禁止にした」と説明する。
教育現場の事故に詳しい名古屋大学の内田良准教授(教育社会学)は取材に、「タワーやピラミッドの段数規制の抜け道として、人間起こしを実施しているという側面が強い。段数が低いから問題ないだろうとの考え方でやっているところが多いのでは」と推測。そのため、安全面の検証が十分でないと指摘する。
人間起こしの意義については、「事故のリスクを減らした形、例えば『扇』のように一段で横に広がりのある演技・技でも一体感を高めることはできる。リスクをかけて一体感を得ようという発想をやめたほうがいい」(内田氏)
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)
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