G20での反応は...? 政府・温暖化対策「長期戦略」の微妙な評判

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「石炭」手放せない理由は?

   CO2排出量が多いとして、世界では「脱石炭火力」が大きな潮流になっているが、日本は東日本大震災を受けて石炭火力への依存が高まり、今後の新設計画も目白押し。さらに、途上国では安価な石炭に頼る部分もなお大きく、日本は石炭火力としては世界トップレベルの効率を誇る技術力を武器に、輸出戦略の中に位置付けている。こうした日本の複雑な立場が、長期戦略にも反映された形だが、これで世界の温暖化防止の議論をリードするのは難しい。

   さらに、原発について長期戦略は、新たな原子炉技術の開発のほか、足元の政策として「再稼働を進める」「利用を安定的に進める」とした。原発を重要なベースロード電源と位置付ける国のエネルギー基本計画に沿った内容だが、現状は再稼働が9基にとどまる。

   これについては、脱原発の東京新聞社説(4月25日)が「温暖化対策を原発復権の口実にしてはならない」と批判する一方、原発容認・推進の側からは「原発をエネルギー源のひとつとして使い続けるなら、新増設の議論から目をそむけてはならない」(日経5月5日社説)、「安全性を確認した上で再稼働を進める必要性を、政府は国民に丁寧に説明しなければならない。......(政府は)基幹電源と位置づけている以上、新増設の方針を明記すべきだ」(読売4月11日)と、政府の「及び腰」を批判する論調も目立つ。

   原発の是非は脇に置くにしても、長期戦略は、全体として「目先の痛みを回避し、将来の技術開発に頼ってばかり」(毎日4月6日社説)の感は否めず、「今の削減ペースでは(2050年に80%削減の目標)達成がほぼ絶望的だ。もう一段の対策が要る」(日経5月5日社説)との見方は強い。

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