「業務上必要かつ相当な範囲かと、この辺なんだろうと思います」
尾辻氏が質問した背景にあるのは、3日に厚労省・雇用機会均等課に出された要望書だ。職場で女性にハイヒール・パンプスの着用強制を禁止するよう厚労省から企業に通達してもらうため、グラビア女優で作家の石川優実さんがネット上で呼びかけた。ハイヒールの負担は、外反母趾や靴擦れ、腰痛など健康被害を生じさせている現実がある。活動は「#KuToo」運動として共感を集め、1万8000通を超える署名が寄せられた。
実際のところ根本氏はどのように答弁したのか、委員会映像を改めて確認してみる。尾辻氏は「今回このような要望書が出されたことに対する大臣の受け止め、さらに今後の対応についてもお聞きしたいと思います」と質問。根本氏の答弁はこうだった。
「ハイヒールやパンプスの着用については、それぞれの業務の中でそれぞれの対応がなされていると思いますが、たとえば労働安全衛生の観点からは腰痛や転倒事故につながらないよう、服装や靴に配慮することは重要であって、各事業場の実情や作業に応じた対応が講じられるべきと考えております。それぞれの職場がどういう状況にあるのかということで、一般的にはそれぞれの職場での判断だろうと思います」
「もう少し受け止めを聞きたい」という尾辻氏は、「ハイヒールやパンプスが義務付けられる必要はあると思われますか?」と論点をより具体的にして質問。そこで根本氏から出たのが次の答弁だ。
「女性にハイヒールやパンプスの着用を指示する、義務付ける、これは社会通念に照らして、業務上必要かつ相当な範囲かと、この辺なんだろうと思います。それぞれの業務の特性がありますから」
これに尾辻氏は「問題だという意識が大臣にあるのかないのか分かりません」とし、「もう一度、問題があると思っているか、ないと思っているか、そこだけでもお答えいただけますか?」と回答を二択に絞って質問。根本氏は同様の答弁を繰り返した。
「ハイヒールやパンプスの着用を強制する、指示する、これはいろんなケースがあると思いますが、社会通念に照らして、業務上必要かどうかということ、これは社会慣習に関わるものではないかなと思います。だからそういう動向は注視しながら、働きやすい職場づくりを推進していきたいと思います」