東海汽船は2019年6月5日、20年夏に就航予定の貨客船と高速船「ジェットフォイル」のデザインと名称を発表した。
ジェットフォイルが国内で建造されるのは約25年ぶり。東海汽船では、他社から購入した中古のジェットフォイルを4隻運航しており、新造船を導入するのは初めてだ。
1995年を最後に受注が止まっていた
ジェットフォイルは大量の海水を噴射し、船体の前後にある水中翼の揚力で船体を海面に浮上させ、時速83キロで航行する。米ボーイング社が開発し、日本では川崎重工業がライセンス生産してきた。同社の神戸工場で1989~95年にかけて計15隻を建造してきたが、価格が高く寿命が長いことから、新規の受注が止まっていた。
東海汽船のジェットフォイルは東京-伊豆諸島を中心に運航している。それ以外にも、国内ではボーイングと川崎重工が製造したジェットフォイルが、博多-壱岐・対馬、新潟-両津(佐渡島)、鹿児島-種子島・屋久島などを結んでいる。博多-釜山を3時間で結ぶJR九州高速船の国際航路もある。
東海汽船では、4隻のうち、「セブンアイランド虹」(1981年完成、281トン)を新造船に置き換える。20年7月に就航予定だ。同社のジェットフォイルとしては初のバリアフリー船で、バリアフリー席や多目的トイレを設けた。全長27.36メートルで、旅客定員は241人。
名称は「セブンアイランド結(ゆい)」。ジェットフォイルの命名と両船のデザインは美術家の野老朝雄(ところ・あさお)さんが担当した。野老さんは、東京五輪・パラリンピックのエンブレムの作者としても知られる。同社のレストラン船「ヴァンティアン」で行われた記者会見で、野老さんは、命名の狙いを
「いろいろな島々を結ぶ中で、『愛』とか『夢』とか、いままで2文字できた伝統を引きたいと思った」
などと話した。
貨客船は、1992年から東京-伊豆大島-神津島路線と下記の東京湾納涼船として活躍してきた「さるびあ丸」(4992トン)の後継として導入される。「三代目 さるびあ丸」として名称を引き継ぐ。総トン数は6200トンと「先代」よりもやや大きく、旅客定員も816人から1343人に増える。20年6月に就航予定だ。
デザインは、両船とも「島の海に映える藍色『TOKYOアイランドブルー』」をまとっているのが特徴だ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)