新アトラクション、エリア誕生... 動き相次ぐオリエンタルランドを、株式市場はこう見ている

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   東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドの株式が業績向上への期待から買われ、2019年5月中旬から下旬にかけて連日、上場来高値を更新した。その後も一時的な下落はありつつ、1万3000円台の高水準にある(6月5日時点)。

   会社側が公表した2020年3月期の業績予想は保守的だったが、それへの失望売りは一時にとどまり、今後次々と新アトラクションが導入されることによる成長への期待が高まっているのがその理由だ。

  • TDSに誕生する新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」(C)Disney
    TDSに誕生する新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」(C)Disney
  • TDSに誕生する新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」(C)Disney

2019年3月期は「ザ・過去最高」

   1カ月以上前のことになるが、まずは4月25日に発表された2019年3月期連結決算と2020年3月期の業績予想を確認しておこう。

   2019年3月期は一言でまとめると「ザ・過去最高」だった。売上高は前期比9.7%増の5256億円、営業利益は17.2%増の1292億円、純利益は11.2%増の902億円で、いずれも過去最高を更新した。TDR35周年を記念する特別パレードなどのイベントに集客効果があったことなどから、テーマパーク入園者数は前期比246万人増の3256万人、顧客一人当たりの売上高は201円増の1万1815円となり、いずれも過去最高を更新したことがそのまま業績に反映した。通常は閑散期の1~3月が暖冬の影響で来客数が前年同期より1割近く増えたことも貢献した。ホテル事業も売上高が59億円増の724億円、営業利益が29億円増の192億円と好調だった。人手不足の環境の下、人件費など諸経費が増加したものの、売上高の増加により結果として大幅な増益を果たしたのだった。

   一方で、同時に発表した2020年3月期の業績予想はやや投資家のサプライズを呼んだ。売上高は前期比8.8%減の4792億円、営業利益は28.1%減の929億円、純利益は27.7%減の653億円。35周年イベントの反動で入園者数は7.9%減の3000万人、顧客1人当たり売上高は1.5%減の1万1640円と見込むためだ。一方でシステム関連費用などが増加する。会社側の予想通りに着地すれば、営業利益は7期ぶりの1000億円割れとなる。「減益計画は想定していたが、その水準は想定以上に低かった」(SMBC日興証券)との反応を呼んだ。

一時は株価を下げたものの...

   これらの発表を受けた東京株式市場はまず売りで反応した。4月26日は一時、前日終値比4.4%(560円)安の1万2065円まで下落し、終値は2.8%(355円)安の1万2270円だった。

   しかし、大型連休後に局面が変わった。米中貿易摩擦が激化して輸出銘柄を中心に弱含む中、安定した収益をあげる内需銘柄として見直し買いが入ったことが大きい。何と5月9日から21日まで小刻みではあるが9営業日連続で終値が前日を上回る9連騰を演じたのだった。この間、16日に4月2日につけた上場来高値(1万2895円)を更新し、さらに17、20、21、22日と交信は5営業日連続となった。まさにうなぎ登りの状態で、一日おいて24日にも上場来高値を更新し、1万3630円をつけた。さすがにその後はやや下げているが、6月5日の終値も1万3165円と依然として高い水準にある。

新アトラクション、そして美女と野獣エリア...

   反動減があるとはいえ、もともと2020年3月期は7月に東京ディズニーシー(TDS)で新アトラクション「ソアリン」がスタートする。「ライドに乗って風や匂いを感じながら世界中の名所や大自然をめぐる雄大な空の旅」で「子供から大人まで楽しめる」が売り文句の本格的なアトラクションだけに一定の誘客を見込める。また、2020年春には東京ディズニーランド(TDL)に「美女と野獣エリア」が誕生する。そうした中で5月21日、2023年3月期にTDSで開業する「アナと雪の女王」関連の施設を含む新エリア「ファンタジースプリングス」の概要が発表され、これが将来の成長に対する投資家の期待を呼び、さらに株価を押し上げたのだった。

   ただ、大規模開発にはそれに伴う人材の発掘・教育が必要で、それが2020年3月期の減益要因となる可能性はある。とはいえ、「オリエンタルランドはそれを十分こなせる」と投資家が見ていることは株価にも表れており、足元で死角が見当たらない。

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