日本ラグビーフットボール協会(JRFU)は2019年6月3日、都内で記者会見を開き、秋のワールドカップ(W杯)へ向けた宮崎合宿参加メンバー42人を発表した。このメンバーの中に、1度は「代表を引退する」と宣言した、トンプソン ルーク選手が選出された。
196センチ、110キロ、大阪弁ベラベラの「おもろいヤツ」
発表は、同日14時から行われた。日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)、薫田真広氏(男子15人制強化委員長)が登壇した。
その中で発表されたのが、愛称「TOMO」のトンプソン ルーク選手だった。身長196センチ、110キロ。年齢は38歳。ニュージーランドのクライストチャーチ生まれ。日本ラグビーのトップリーグ(TL)チームである近鉄ライナーズ、及び、スーパーラグビーのサンウルブズにも所属するなど、「異国から来たサムライ」として人気を集めている。
2007年に日本代表としてW杯初出場、2010年に日本国籍を取得、2011年W杯に召集され、2015年W杯では日本代表大躍進の立役者となった。
所属する近鉄の本拠地である大阪の練習グラウンドへも「♪チリン~チリン~」とベルを鳴らしながら、自転車で通勤。「マイド!」「ナンデヤネン!」と、大阪弁ペラペラで、ファンの間では「おもろいヤツやなぁ~」と親しまれている。
玄人からの人気は「五郎丸超え」
2015年のラグビーW杯イングランド大会。日本代表は初戦で、当時、世界ランキング3位だった南アフリカ代表を、残り数分というところで大逆転。世界中が「世紀の番狂わせ」「歴史的大事件」と大騒ぎになった。
同大会で有名になったのは「ポーズ」で知られる五郎丸歩選手だが、玄人(くろうと)の意見からすると「最高のパフォーマーはトンプソンじゃない?」との呼び声も高い。実際、「ラグビーマガジン」(2015年12月号)において、「読者が選ぶワールドカップMVP」といという企画においては、五郎丸選手を抜き、断トツで選ばれた。
その後、1度は「代表引退」を表明したが、ジェイミーHCの熱烈な要望で代表復帰。
ジェイミーHCは同日の会見で、
「精神的主柱、とでも言えるかな。何より、若い選手へのお手本だ。彼の存在や経験、これは経験の少ない選手にとって、必ずいい影響になるだろう」
日本サッカー界で言えば「カズ」のような存在だ、と明言した。
ポジションは「縁の下の力持ち」
ところで、トンプソンのポジションはLO(ロック)という。スクラムでいうと第2列(セカンドロー)という位置である。基本的に高身長の選手が多く、海外では2メートルを超える選手も少なくない。ラインアウト(サッカーにおけるスローインのようなもの)のジャンパーとして活躍するなど、「ここぞ!」という時には活躍できる。しかし大変、失礼だが、15人制ラグビーにおいては、最も目立たないポジションだ。
そんなトンプソンが、なぜ好かれるのか? 相手にトライを取られても「ナンデヤネン!」「イケルヤロ!!」「マダ、マダ!!!」と選手を鼓舞する。
ジェイミーHCは、
「彼の姿勢は、若い選手への刺激となる。そういった意味でも、38歳の彼を招集することに決めた」
9月20日に開幕するラグビーW杯日本大会、目標の「ベスト8以上」を達成するために「異国から来たサムライ」の活躍が期待される。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)