暑くなると飲み物が欠かせない。コンビニでペットボトル飲料を買おうとしたのだが、ふと気になったことがある。携帯サイズのボトルはかつて多くが「500ミリリットル」だったのが、いつの頃からか「600ミリリットル」あるいはそれ以上の容量が定番になりつつある。
「大型化」の理由は何なのか。飲料メーカー各社に聞くと、背景には昨今の社会事情を汲んだ側面もあるようだ。
600、650、660ミリリットル
コンビニの冷蔵庫を眺めてみると、緑茶商品はおなじみの「伊右衛門」(サントリー食品インターナショナル)、「お~いお茶」(伊藤園)、「生茶」(キリンビバレッジ)がいずれも600ミリリットルある。他のお茶系商品も大きい。「やさしい麦茶」(サントリー食品インターナショナル)は650ミリ、「十六茶」(アサヒ飲料)は660ミリもある。
中でも巨大なのは「健康ミネラルむぎ茶」(伊藤園)の670ミリ(コンビニ限定)だ。インターネット上では大容量ボトルの筆頭格とされており、昨今では価格据え置きのまま容量が減る現象を指して「ステルス値上げ」と呼ぶ風潮もある中、その逆を行くような、抜きん出た大きさは人気が高い。長らくイメージキャラクターをつとめる笑福亭鶴瓶さんを引き合いに「やっぱ鶴瓶って神だわ」と書き込まれることもしばしばある。
「以前は一律500ミリリットルとされていましたが、昨今ではニーズが多様化し、大き目のものも増えていますね」。伊藤園の古川正昭・広報室長は2019年5月28日、J-CASTニュースの取材に「巨大化」の背景を述べる。
「2リットルなどの『ファミリーサイズ』に比べ、携帯できる『パーソナルサイズ』の方が、規模が伸長しています。その理由として考えられることはいくつかあります。
まず現代社会は核家族や単身世帯が増加し、世帯あたりの人数が減少傾向にあります。2リットルボトルを冷蔵庫に入れておいても飲み切れないことがあるんですね。商品の選択肢も増えています。それならパーソナルサイズのボトルを買おう、と考えるのは自然なことです。
その中で、止渇性(喉の渇きをうるおすこと)が高くグビグビ飲みたい物は『量』が求められますから、特に大きめになってきていますね。その代表格が麦茶といえます」