2019年4月にHKT48を卒業したタレントの指原莉乃さん(26)が5月28日、グループの本拠地の福岡市内で「大感謝祭」コンサートを開き、アイドルとしての活動に正式に終止符を打った。
指原さんがAKB48グループの「選抜総選挙」で初の1位を獲得し、センターポジションを務めた「恋するフォーチュンクッキー」も、コンサートでは歌い納めになるとみられる。だが、指原さんがコンサート最後の楽曲に選んだのは、「恋チュン」でもなく、HKTのファンやメンバーにとってなじみ深い曲でもなく、ほとんど無名と言っても良いCMソング。8000人(主催者発表)のファンで満員になった会場からは、どよめきが起こった。
「笑っていいとも!」テーマソングではサングラス姿で...
「感謝祭」では、「指原莉乃のベストセレクション」と称し、オーディションで歌った「BINGO!」や、初選抜曲「大声ダイヤモンド」など、指原さんの11年間にわたるアイドル活動で節目になった楽曲を中心に全29曲を披露。レギュラー出演していた「笑っていいとも!」のテーマソング「ウキウキWATCHING」では、今村麻莉愛さん(15)と村川緋杏(びびあん)さん(19)をバックダンサーに、タモリさん(73)のようにサングラスをかけて登場し、観客を沸かせた。
指原さん曰く、「私、今、一般人として(ステージに)出てる」。ステージの大半をロングスカート姿でパフォーマンスし、共演したHKTのメンバーが着ているアイドル衣装は「封印」し、アイドルではなくタレントとしての出演を強調した。
例外が、総合プロデューサーの秋元康氏の「謎のリクエスト」で披露されることになったという、秋元氏が作詞した「川の流れのように」。赤いドレス姿で、美空ひばりさんの生前最後のシングル曲をしっとりと歌い上げた。
「もう契約は切れてるけど、歌いますよ~。イエーイ!」
特に観客を驚かせたのが、最後の楽曲だ。「恋チュン」を披露した指原さんは、涙声で「それでは、HKTのメンバーと歌う...、最後の曲になります」と切り出したが、じょじょに笑い声になりながら「聞いてください。『タンスのゲン』!」。家具メーカーの「タンスのゲン」(福岡県大川市)が13年にHKTをCMに起用した際の楽曲で、次々に飛び出してくるタンスの引き出しを閉めながら全身でコミカルに踊る振り付けが特徴。指原さんは
「もう契約は切れてるけど、歌いますよ~。イエーイ!最後に頭のおかしいHKT見せましょう!」
と煽りながら、今回の「大感謝祭」のために改めて製作されたというタンスをステージに持ち込んで6年前のCMを再現した。
指原さんは
「私、これで悔いなくここから卒業できます!ありがとうございました!そして、これからもHKTのことをよろしくお願いします!」
と話した。そして、手に持っていたマイクをタンスに入れ、引き出しを閉めてから「生声」で「ありがとうございました!」。11年間のアイドル生活への感謝の言葉を繰り返した。
AKB48の渡辺麻友さん(26=17年卒業)の卒業シングル「11月のアンクレット」では、最後にステージにマイクを置く振り付けだった。この演出を念頭に置いている可能性もありそうだ。
九州7県ツアー発表で「目標ができた」
指原さんからHKTへの「置き土産」も多いコンサートだった。7月から10月にかけて九州7県を回るコンサートツアーが発表されたのに加えて、指原さんが書き下ろすことを発表していた新公演「いま、月は満ちる」の表題曲も初披露された。
HKTが九州ツアーを行うのは14年以来5年ぶり。指原さんが卒業してから1か月間「どうなるんだろうな」という不安を持っていたという「チームH」キャプテンの松岡菜摘さん(22)は、
「これから『みんなで頑張るぞ』と言っても、何も先が見えない中で、『やっぱりパワーダウンした』とか、絶対そういう風に皆さんに思われてるんだろうな、と思っていたので、ツアーという目標ができたので、皆さんを楽しませられるように、さっしーに教わったことを、みんなで一緒に頑張って発揮したいと思います。すごく嬉しいです」
と、思いを新たにしていた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)