見通せない場所にドローンでお届け 福岡市で「都市部の目視外」実証実験

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   ドローン(小型無人機)を「目視外飛行」と呼ばれる方式で飛ばして荷物を運ぶ実証実験が2019年5月28日、九州大箱崎キャンパス跡地(福岡市東区)で行われた。

   福岡市では、玄海島(西区)から対岸の唐泊港(同)までの片道約5キロを、目視外飛行で往復する実験が行われたばかり。このときは海上飛行だったが、主催者によると、「大都市都心部での目視外飛行」の実証実験は全国で初めてという。

  • コースの前半では、ドローンは「EffiBOT(エフィボット)」と呼ばれる配送ロボットに載せられて移動した
    コースの前半では、ドローンは「EffiBOT(エフィボット)」と呼ばれる配送ロボットに載せられて移動した
  • AEDを積んだドローンは大学キャンパス跡地の建物を回り込んで目的のポイントに向かった
    AEDを積んだドローンは大学キャンパス跡地の建物を回り込んで目的のポイントに向かった
  • コースの前半では、ドローンは「EffiBOT(エフィボット)」と呼ばれる配送ロボットに載せられて移動した
  • AEDを積んだドローンは大学キャンパス跡地の建物を回り込んで目的のポイントに向かった

九大キャンパス跡地活用構想の一環

   「目視外飛行」とは、操縦者が見える範囲を超えて自動で飛ばすことを指す。都市部では、無線LAN(Wifi)や携帯電話など、山間部や海上部に比べて様々な種類の電波が飛び交っている。特に、箱崎キャンパス跡地の周辺には住宅街が広がっている。そういったノイズが多い環境でも安全に離着陸できるかを検証するのが狙い。

   九大の本部は箱崎キャンパスにあったが、18年9月に伊都キャンパス(西区)への移転統合が完了したばかり。九州大が所有する跡地と周辺用地は約50ヘクタールもあり、福岡市や九大などは、跡地を活用したモデル都市構想「福岡スマートイースト」を進めている。今回の実証実験も、その一環として行われた。

配送ロボットから離陸し、建物の影に回り込んで...

   実証実験は、急病人に自動体外式除細動器(AED)を届けるという設定。自律制御システム研究所(ACSL)製の産業用ドローン「ACSL-PF1」をカスタマイズして使用した。約1キロのAEDを積んだドローンは、60~70メートルほどのコースの前半を「EffiBOT(エフィボット)」と呼ばれる配送ロボットに載せられて移動。後半は、ドローンがロボットから離陸して建物の影に回り込み、スタート地点からは直接見通せない目的地に自動的に着陸した。この間、約2分30秒。その様子を福岡市の高島宗一郎市長が実況する中、報道関係者や地域住民が見守った。

   高島市長は

「例えばこのエリアの中で、誰かが急に倒れた。心臓が止まったりしたら、一刻を争って蘇生しなければならない。こういうときにAEDのようなものがいかに早く届けられるかが大事になってくる(中略)SOSを出した時にすぐに届けられるのがドローンの強み」
「こういった実証実験を繰り返しながら、このエリアで安定した飛行ができるかを確認していく」

などと実験の意義を強調した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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