文具用品などを手がけるシヤチハタ(名古屋市)が、痴漢対策用のハンコの発売を検討していることが分かった。
同社はJ-CASTニュースの取材に、「SNSなどでのご意見をもとに、商品化に向けて議論していく」と話す。
痴漢根絶を目指して
シヤチハタ公式ツイッターは2019年5月27日、痴漢被害を念頭に「目指すべきはこの社会問題が根絶され、"護身用グッズが必要ない世の中"になる事です」などと投稿した。
痴漢をめぐっては、被害に遭ったという女性が2019年5月中旬、「無理に声出さなくていいんだよ。次痴漢が出たらそれで刺しな それなら持ち歩ける」などと安全ピンで撃退するようアドバイスされたとツイッターに投稿し、賛否を呼んでいた。
こうした議論を踏まえ、シヤチハタは痴漢対策グッズとして、安全ピンに代わる「ハンコ」を提案した。「最初にご提案できるのは従来のネーム印とほぼ変わりません。そして今後段階的に形にできればと考えております」と展望を明かし、最終的には前述した「"護身用グッズが必要ない世の中"」を目指すという。
投稿は約4000「いいね」(27日現在)を集め、「素早い対応に感銘を受けています。応援しています」「指輪型で手のひら側に印を向けられるものを作ってください」と賛同や要望が多数寄せられている。
ツイッター担当者が商品化へ奔走
シヤチハタ広報室は27日、J-CASTニュースの取材に「商品化に向けて現在議論中です」と話す。
構想のきっかけは、先の女性の投稿に寄せられた反応の中で「安全ピンよりはハンコの方が良いのでは」といった意見があったためだという。それを見たツイッターの女性担当者が実現に向け動き、現在は別の部署の女性社員と具体的な商品案を練っている。
シヤチハタが「痴漢対策グッズ」を手がけるのは意外とも思われるが、同社は以前から社会貢献に取り組んできた。
16年11月に発売した「手洗い練習スタンプ おててポン」は、子どもの手の平に"ばいきん"のイラストを押印し、印影が消えるまで石けんで手洗いすることで手洗いの練習ができる商品だ。
18年8月には、防災訓練をスタンプラリーで学べるプログラム「防災・減災スタンプラリー」を発表。東北大学と共同開発し、スタンプをおしながら避難経路を回り、楽しく防災・減災の知識を学べる。
痴漢対策用のハンコの商品化もこうした背景がある。同社は「SNSなどでのご意見をもとに、商品化に向けて議論していく」とした。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)