動画配信サイト「ユーチューブ」で公開されたハムスターの飼育動画をめぐり、インターネット上で「動物虐待だ」との指摘が相次いでいる。
動画では、ハムスターを染料で染めたり、辛いお菓子を与えたりするなどしている。動物病院の院長はJ-CASTニュースの取材に「快適な環境で飼育される事を願っています」と語る。
抗議署名に約1万6000筆
ハムスターを想起させる登録名のユーチューブチャンネルが2019年4月ごろ、飼育するハムスターの動画を複数投稿した。
「【驚愕!?】新種のハムスターを発見した件 カラーハムスター」では、犬用のカラー剤を使い、ハムスターを青色に染色。「歯に神経は有るのかな?」とのコピーを付けた動画では、爪切りで歯を根元から切る内容を投稿している。
そのほか、激辛のお菓子を与えたり、狭いビンの中にハムスターを閉じ込めたりする動画も見つかる。
動画をめぐっては、SNS上で「許せない」「動物虐待だ」との指摘が相次ぎ、署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」では投稿者の処罰を求める呼びかけに約1万6000筆集まっている(5月27日現在)
歯の切断で死亡例も
ハムスターの診療も行う「ふくしま動物病院」(東京都北区)の福島正則院長に25日、動画内容への見解をたずねると、「ハムスターの病気を治療している側の人間として、不必要な病気を作らずにハムスターが快適な環境で飼育される事を願っています」と答える。
ハムスターは常に毛づくろいをするため、染色すると「薬剤などが体に入る場合も考えると体が小さい分影響も多少なりあるかと思われます」(福島院長)。
また、歯を爪切りで切る行為は、「歯が割れたりするのと、慣れてない人が行うと舌を切ったりして怪我をします。歯の根元すぎる部位を切ると出血が止まらなくて死亡したという症例も聞きます」という。
激辛のお菓子を与えたり、狭いビンの中にハムスターを閉じ込めたりするのも問題となる可能性があるという。
チャンネル削除も、同名で「再開」
チャンネルはその後、「暴力を禁じているユーチューブポリシーに対する度重なる違反または重大な違反」があったとして停止された。
しかし、5月21日までに同名のチャンネルが開設され、27日現在で15本の動画が公開されている。
チャンネル概要欄には「クリーンな動画投稿をしております。悪質な低評価、報告に惑わされないようお願いします」「動物愛護団体を応援しております。収益の一部は動物愛護団体に寄付予定です」とある。
日本動物福祉協会の公式サイトでは、動物虐待や不適切な飼育を見つけた場合、警察、各自治体の保健所や衛生課、動物愛護センターへ通報するよう呼びかけている。