阪神が上昇気流に乗っている。阪神は2019年5月26日、横浜スタジアムでDeNAと対戦し、7-0で勝利した。先発オネルキ・ガルシア投手(29)が4安打6奪三振の好投で完封。打線は初回にルーキー近本光司外野手(24)が、先頭打者本塁打を放つなどDeNA投手陣から計7点を奪った。ガルシアは移籍後初勝利を完封で飾り、チームは2カード連続の勝ち越しで貯金を「4」とし、2位巨人を0.5ゲーム差で追う展開となった。
前日25日は8回までゼロ行進が続き、6点ビハインドの9回に糸井嘉男外野手(37)の3ランが飛び出すなど、DeNAの守護神・山﨑康晃投手(26)に食らいつき、あと1点まで追い詰めた。結局、山崎の粘りの前に逆転とはならなかったが、26日のゲームは前日の9回の勢いそのまま2回までに3本のホームランを含む5得点をマークし、早々と試合を決定付けた。
阪神は5月17日からの甲子園での広島戦で屈辱の3連敗を喫したが、週明けの21日からは甲子園でヤクルトに3連勝を飾った。週末のDeNAとの3連戦では2勝1敗で勝ち越し。広島戦の3連敗からはここまで5勝1敗と好調を維持している。DeNAとの3連戦でキーマンとなったのは近本だろう。初戦の7回には先頭打者として3塁打を放ち、逆転へのきっかけを作り、第2戦目の9回には同じく先頭打者としてセンター前にヒットを放ち、大量5得点の先陣を切った。そして、この日は初回の先頭打者本塁打。ことごとく好機で勝負強さを発揮している。
「阪神は近本選手を起点とし、素晴らしい攻撃をしています」
阪神OBで野球解説者の野口寿浩氏(47)は「阪神は近本選手を起点とし、素晴らしい攻撃をしています。ゴールデンウィーク明けは近本選手に少し疲れが見えましたが、ここにきてバットがよく振れています。チャンスメイクに慣れてきたようにも感じます」とリードオフマンとして近本を高く評価する。
阪神は21日からすべて1点差ゲームをものにし、4連勝をマークした。守護神ラファエル・ドリス投手(31)はフル回転登板となり、中継ぎ陣ではピアース・ジョンソン投手(28)を中心に、藤川球児投手(38)、能見篤史投手(39)の両ベテランが奮起。好投の先発陣を中継ぎ陣が支え、最後はドリスがきっちりと締めくくるパターンで、チームを勝利に導いてきた。
「救援投手陣を休ませるという意味でもガルシア投手の完封は大きな意味がありました。ガルシア投手はいいテンポで投げていました。この完封のおかげで、中継ぎ、リリーフ陣は正味、2日間休めますので、28日からのジャイアンツ戦にはいい状態で臨めると思います」(野口氏)
「よそ行きの野球は必要ありません」
2位巨人とは0.5ゲーム差、首位・広島とのゲーム差は2.5ゲームにまで迫っている。28日からは2位巨人と甲子園で3連戦、31日からはマツダスタジアムで広島との3連戦を控える。6月4日開幕のセ・パ交流戦を前にして、序盤戦最大のヤマ場ともいえる6連戦。ここでの結果次第では、首位浮上の可能性も十分ある。
「まだ5月ですので順位を口にするのは早いと思いますが、順位が上がれば選手は気合が入ります。ジャイアンツとの甲子園3連戦ですが、阪神はよそ行きの野球は必要ありません。ここまでやってきた野球をそのまましっかりやればいいと思います。甲子園でのジャイアンツ戦だからといって変に意識せず、今シーズンの戦い方をすれば結果はついてくると思います」(野口氏)
ウサギのシッポをとらえ、そのままの勢いで鯉の尾ひれも...。虎の首位奪回がにわかに現実味を帯びてきた。