最新技術レースに付いていくためにも...
2019年3月期の四輪事業の売上高は11兆円余りで、二輪事業は2兆円余り。売上高が5倍の四輪が利益額で二輪に負けているわけで、四輪事業の経営効率の悪さが際立つ。ちなみに四輪事業の売上高営業利益率は1.9%で、原価低減をお家芸とするトヨタ自動車の自動車事業(7.5%)に大きく水をあけられており、株式市場から疑問符を投げつけられているわけだ。
2020年3月期の業績予想はどうか。売上高は前期比1.2%減の15兆7000億円、営業利益は6.0%増の7700億円、純利益は7.9%増の7300億円を見込む。四輪の販売台数は米国の在庫調整などで3.1%減の516万台を計画する一方、派生車種の絞り込みなどで生産効率を上げることで利益を上積みする考えだ。販売計画は異例のマイナスだが、これで伊東孝紳前社長の「2016年度に四輪販売600万台」という拡大路線をようやく修正することになる。
ただ、スピード感に欠けるとも見られている。ホンダは英国やトルコ、狭山の工場閉鎖など世界の生産体制の見直しに着手しているが、八郷隆弘社長は8日の事業方針説明会で「グローバルでの生産領域の費用を2025年までに18年比10%削減する」との目標を発表した。7年間で1割とはトヨタ系部品メーカーなら鼻で笑うのではなかろうか。
世界の自動車メーカーは自動運転や電動化といった最新の技術開発に向き合っている。ホンダもその「レース」に参加しているわけだが、足元の四輪事業でしっかり稼げる体質にしておかねば研究開発も覚束なくなると見られかねず、その点を株式市場が注視していると言えそうだ。