5月も後半に差し掛かり、一気に暑くなってきた。熱中症対策が気になるなか、東京都の小池百合子知事が紹介した、猛暑対策グッズが話題になっている。
その名も「かぶるタイプの傘」。日傘の柄を省いて、ヘルメットのようにすっぽりかぶれるもので、「傘」というより「笠」と言いたくなる見た目だ。小池氏は2019年5月24日の定例会見で、来年に控えた五輪の暑さ対策における「ひとつのソリューション」として、この傘を紹介した。
「本気で言うてんの?」「虚構新聞かと思った」
アピールポイントは、柄を持たなくていいので、両手があくこと。空気が通るように、上部はひらひらとしたデザインで、遮熱、遮光効果のある素材を使って、6月をメドに製作を進めている。同様のグッズは「某ブランド」でも作られているそうだ。会見映像を注視すると、FENDI(フェンディ)のロゴが見えた。
この「秘策」が報じられると、ツイッターではツッコミが相次いだ。都職員らしき着用モデルのなんとも言えない表情もあり、冷ややかな声は多い。
「笑わせに来てるよね?」
「ちょっと待って、これ本気で言うてんの?」
「虚構新聞の記事かと思ったら、本当の話なのか」
「笑った! でも傘じゃないでしょ。これはもう笠でしょ」
「こんなもんが企画倒れせずに試作品までつくり、しかも発表までしちゃうのは何というかもう、ため息しか出ない」
小池氏の言う通り、同様のグッズはフェンディなどが、すでに市販している。ネット通販では安価なものだと数百円から売られているが、ある商品には「おもしろ便利グッズ」「ギャグアイテム」といった説明文が付けられていた。
「何と言ったって『クールビズ』を流行らせた人だ」
過去の「実績」に絡めた反応も見られる。いまや定着した感がある「クールビズ」を先導したのが、環境相時代の小池氏だったからだ。小泉政権時代の05年、環境省は軽装により冷房節約を目指すクールビズを提唱。名前は公募されたものだが、旗振り役となった小池氏は、その年の「ユーキャン 新語・流行語大賞」トップテン受賞者に選ばれている。
かつての「省エネルック」は普及に失敗したが、クールビズは国民に定着した。環境相みずからスポークスマンとして導入をすすめたことは、確かに大きな功績だ。ツイッターには、こんな反応も出ている。
「小池百合子の手腕を過小評価してはならぬ。何と言ったって『クールビズ』を流行らせた人だ。『かぶる傘』だって、きっと......」
バッシングを戒める声も一部で出ているが、果たして東京五輪では、どれだけの「かぶる傘」姿が観客席で見られるのだろうか。