奈良市の奈良公園では、野生のシカの出産がピークを迎え、かわいい子鹿が続々と誕生している。
しかし、生まれたばかりの子鹿に触るのは、厳禁だというのだ。
「人間の匂いが付くと、子育てをしなくなる」
「子鹿には絶対に触らないでください」。一般財団法人奈良の鹿愛護会は2019年5月25日、公式ツイッターでこんな呼びかけを行った。「拡散希望」だとして、リツイートするようにも促している。
その理由については、次のような事情を挙げた。
「子鹿に人間の匂いが付いてしまうと、お母さん鹿が子育てをしなくなります。お母さん鹿がいなくては、子鹿は生きていけません」
愛護会にJ-CASTニュースが25日、話を聞いたところによると、母鹿は、自分の子供を匂いで判別しており、人の匂いがすると子育てを放棄してしまうのだという。
子鹿は、生まれてから数週間、物陰などに隠れて過ごしている。そして、一日に数回、母鹿は乳を与えるために子鹿のところへ戻り、終わると子鹿はまたすぐ隠れてしまう。しかし、公園内では、それを見つけて触ろうとしたり、一緒に写真を撮ったりしようとする観光客もいるのだそうだ。
「母鹿には、母性本能がありますから、人が近づきますと、子鹿を守ろうと猛烈な勢いで攻撃もしてきます。前足で叩かれたりして、ケガをすることもあり、危ないですね。野生動物ですので、ストレスをかけるのは止めてほしいと思っています」(愛護会担当者)