研究開発費のうち4割が「CASE」に
トヨタは、2019年3月期に計上した研究開発費1兆488億円のうち4割弱をCASE対応に投じた。2020年3月期はさらに500億円増の1兆1000億円を見込む。さらに、「近いうちに5割程度まで高める」(小林耕士副社長)というから、開発費は拡大の一途だ。
一方で、研究開発費は「出せば出すほど利益を圧縮する」(小林副社長)ものだ。それでも、「開発投資は増やしても勝てるかわからないが、減らした瞬間に負けてしまう」(自動車メーカー幹部)からやらざるを得ない。
電気自動車(EV)や自動運転の実用化により、グーグルやアップルに代表される大手IT企業など異業種参入が容易になった。もはや自動車業界は自動車メーカーだけのものではなく、むしろライバルは自動車メーカー以外にある。その現実と、ゴールが見えない開発競争がトヨタを不安の渦に引き込む。足元の業績が活況でもその憂鬱は消えそうもない。