巨人投手陣が苦しい台所事情にある。絶対的エース菅野智之投手(30)が腰の違和感で戦線離脱し、ローテーションの柱のひとり山口俊投手(31)は2019年4月23日のヤクルト戦以来、白星から遠ざかっている。5月23日のDeNA戦では、1軍に昇格したばかりの今村信貴投手(25)が先発し、6点リードの5回にネフタリ・ソト外野手(30)に3ランを浴び降板。試合は7-4で巨人が勝利したものの、今村をはじめ5人の投手を送り込む「総力戦」となった。
序盤戦のひとつのヤマとなる交流戦開幕を6月4日に控え、投手陣が疲弊気味の巨人。今村は1軍昇格直後のマウンドで結果を出すことが出来ず、次回のマウンドに期待されるが、現在の巨人2軍投手陣で1軍の即戦力となる投手はいるのだろうか。J-CASTニュース編集部は、野球解説者の田中幸雄氏(51)に聞いた。
田中氏は、5月22日、23日に行われたイースタンリーグの巨人-日ハム戦をテレビ解説者として観戦。この2試合で巨人は11人の投手がマウンドに上がり、それぞれが1軍昇格へ猛アピールした。田中氏は「私が見た2試合に限って言えば」と前置きした上で、次のように続けた。
「ローテーション投手としてやっていける力は十分にある」
「鍬原(拓也)投手の投球が非常に良かったと感じます。ストレートに力があり、空振りが取れる。ボールの質が高く、制球も良かったです。鍬原投手の投球を見ていると、すでに出来上がっていると感じました。1軍で起用するかどうかの判断はチームの首脳陣の判断ですので、私からは何とも言えませんが、今シーズン中にローテーション投手としてやっていける力は十分にあると思います」
また、田中氏は23日に3番手としてマウンドに上がったスコット・マシソン投手(35)に言及。マシソンは昨年12月に「エーリキア症」という感染症にかかり入院していたこともあり、春季キャンプに参加出来ず、3月1日に来日。以後、1軍復帰へ向けて2軍での調整が続き、この日が2軍戦3度目の登板となり、1イニングを投げ3者凡退で打ち取った。
打者の注目株は育成1位の山下
「マシソン投手のピッチングは素晴らしかったですね。ストレートが150キロは出ていたと思います。変化球にもキレを感じました。2軍の選手が相手とはいえ、きっちりと抑えていましたし、さすがのピッチングでした。1軍のマウンドもそう遠くはないと思います」
一方、田中氏は打者についても言及。2018年育成1位・山下航汰選手(18)に光るものを感じたという。山下は高卒ルーキーの左打者で、5月23日現在、イースタンリーグで打率3割をキープしている。
「山下選手はボールをバットに当てる技術が高い。ピッチャーの球に対する対応力が優れている。高卒ルーキーで、まだ体が出来上がっていませんので、今は中距離バッターという印象ですが、今後、ウエイトトレーニングなどで体を作っていけば長距離バッターに成長する可能性があると思います。体幹がしっかりしていますし、体がブレない。将来的に非常に楽しみな選手ですね」(田中氏)