2019年5月17日に元AKB48メンバーの女優・川栄李奈(24)さんとの結婚を発表するも、23日発売の『週刊文春』で二股交際が報じられて「文春砲」の餌食となってしまった俳優・廣瀬智紀さん(32)。
2.5次元舞台を中心に舞台経験を重ねて人気俳優となっていた廣瀬さんだが、「スキャンダル」が続いたことで一部のファンからは鬱積した感情が噴出している。それを象徴する言葉が「ガチ恋営業」だ。
写真集も「まるで彼と親密な関係になったかのような...」
結婚発表が報じられて以降、廣瀬さんのファンを中心に「ガチ恋営業」という語がSNSで共有され始めた。「ガチ恋」とは、本気で相手に恋をしているような熱狂的な崇拝状態にあること。アイドルや声優、若手俳優の界隈でしばしば使われる。推す俳優が出演する舞台はすべて観劇し、ファンレターや高価なプレゼントを贈る、といった習慣が熱烈なファンによって行われていたが、俳優の側からも積極的にファンが擬似恋愛気分になれるイベントを用意するようにもなっていた。
お渡し会などは序の口で、ツーショット写真が撮れるチェキ会にバスツアーと、俳優の素の姿に触れられるイベントが増え、通い詰めるファンもよりガチ恋状態をヒートアップさせる。あえてそのような場でファンを恋愛気分にさせていくのが「ガチ恋営業」といえる。
廣瀬さんとて例外ではなく、5月25日にも自著のブログBOOK『My Rule~またメールするね。~』の特典会を控えていた。廣瀬さんのブログ記事を書籍化したこの本のコンセプトからして、
「廣瀬が街中やカフェでブログを綴る姿や、等身大の表情など、まるで彼と親密な関係になったかのような、「日常」をテーマとした新規撮り下ろし写真もたっぷり収録」
というもので、やはり親密感を演出し、ガチ恋を意識していると思わせるものだった。さらに特典会では5冊購入でツーショットチェキ写真が撮れる特典があり、5冊分の価格はおよそ2万円ともなる。
チェキ会で「頭ポンポン」も
写真集を「積む」ことで俳優と触れ合える特典がグレードアップする手法は他の男性若手俳優でもありがちである。俳優と一緒に撮れるポーズもハグに「壁ドン」など距離の近いポーズが可能で、中には20冊購入で「膝枕してもらいつつ頭もポンポンしてもらえる券」が特典でついてくるイベントもあった。2.5次元舞台の市場規模が広がるとともに若手俳優の界隈も過熱し、アイドルを応援するかのような商法・ファン心理が広がりつつある。アイドルオタクばりの過剰な愛情を俳優に抱くファンが現れるのは廣瀬さんに限ったことではない。
このような熱狂的なファンの生態は様々なジャンルの女性オタクの生態を描いた本『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話―』(小学館)で描写されたり、小説『りさ子のガチ恋・俳優沼』(集英社)でフィクションながら生々しく描かれるなどしている。俳優を売り出す業界側も、それをよしとして積極的にガチ恋を狙った営業手法に走りがちなのが実情だ。
しかし廣瀬さんの一連の騒動は、ともすればゆがんだ感情をも生む「ガチ恋営業」に冷や水を浴びせた形になった。
「俳優の売り方とプライベートは別」
「ホストまがいだな」
といった冷静な意見もSNSに見受けられたが、俳優とファンの距離を過度に近づけるイメージ戦略は、このように俳優のプライベートにも影響しかねない。アイドル化が急速に進んだ若手俳優界も、華やかさの影で女性アイドル界と同様の危うさをはらんでいる。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)