アメリカのトランプ政権がファーウェイ(華為技術)に事実上の輸出禁止措置を発動した。このため、グーグルは今後ソフト提供を停止する。その結果、ファーウェイとの取引を停止する動きが世界中に広がっている。アメリカは通信ネットワークの保守などに限って90日間の猶予措置を発表したが、その影響は今後も広がるだろう。
ファーウェイのCEOがメディアのインタビューに、これは想定内で問題はない、といった趣旨の発言をしているが額面通りに受け取れない。
両者の違いは...
スマートフォンやタブレットは、機械とハードとソフトウェアで成り立っている。ソフトウェアは2種類あって、OSという機械全体を動かすものと、その上にアプリケーションを乗せる。OSが無いとアプリケーションが乗らない。そのOSとしてファーウェイが採用しているのがAndroidだが、それが機能しないと、スマートフォンやタブレットは単なるゴミのような機械になってしまう。Androidは、グーグルが開発したOSであるが、OSというスマートフォンやタブレットの根幹機能を止めてしまうとは、アメリカの本気度は凄く、ファーウェイの息の根を止めかねず、潰しにかかっている。
良い悪いは別にしても、アメリカは安全保障の関係になると、本当に恐ろしい。かつて日本でも大変な目に遭っている。
1987年の東芝機械ココム違反事件である。同社による共産圏へ輸出された工作機械により、旧ソ連の潜水艦が静粛化が進んだとして、東芝がアメリカで標的にされた。筆者は、ホワイトハウスの前では連邦議会議員が東芝製のラジカセやTVをハンマーで壊すパフォーマンスを覚えている。
幸いだったのは、当時、冷戦でアメリカと敵対していたのは旧ソ連であり、日本は当事者でなかった。しかも、アメリカはレーガン大統領、日本は中曽根首相で、ロン・ヤスといわれる良好な関係が政府間であった。このため、東芝が叩かれたといっても、米政府というより米議会が中心だった。
さらに、レーガン大統領は、当時旧ソ連を追い詰めていた。冷戦終結の転機になったレーガン米大統領とゴルバチョフ・ソ連書記長とのレイキャビク会談は1986年秋に開かれており、これをきっかけとして、ソ連は崩壊した(91年)。このため、87年の東芝事件はほどなく忘れ去られている。