「VARはGLTとは違い、人を育成する必要があります」
「VAR」については、「コスト(総額)は年間約1億円とGLTよりは安価。しかも、ゴール判定だけでなく、ファウルやオフサイドの明らかな間違いも正すことができます」と評価する一方で、
「ただし、VARの問題は、試合の中断を増やすなど、競技への影響が出ること。今まではチェックしていなかったファウルが取られることもあり、PKも増えています。セットプレーは今後も影響が出ると思います」
とデメリットも指摘した。W杯初導入となったロシア大会ではPKの数が大会史上最多を記録したのは記憶に新しい。
また、VARには審判員の能力的な課題もある。
「さらにVARはGLTとは違い、人を育成する必要があります。1試合にはVARとアシスタント・VARで必ず2人が必要です。VARが判定を検証している間、流れていく試合をアシスタント・VARがチェックするためです。そして、彼らに適切な映像を送ったりするオペレーターも必要。もちろん、主審も彼らとコミュニケーションを取り、必要であればオン・フィールド・レビューを行い、自分で検証をする手順もあります。
副審の手順にも多少違いが出てくるので、審判はビデオ判定用のトレーニングを積む必要があり、その内容、期間、実戦テストの段階を踏むことなどは、すべてIFAB(国際サッカー評議会)によって定められています。現在JFAではVARの育成とトレーニングを行っている最中ですが、人の育成と、それにかかる時間が、VARの最も大きな課題です」(清水氏)