3つのゴール判定システム、導入への課題は?
J1では今季、ゴールをめぐる疑惑の判定がすでに複数ある。5月3日の鹿島アントラーズ-清水エスパルス戦では、清水MF中村慶太のFKを鹿島GKクォン・スンテがかき出したが、ゴールラインを割っていたのではないかとして清水の選手が猛抗議。同日にはサンフレッチェ広島-横浜F・マリノス戦で、広島MF川辺駿のヘディングシュートが同様にゴールラインを割ってから横浜GKパク・イルギュにセーブされたのではないかと物議を醸した。
いずれもノーゴールに終わったが、議論を呼んだ判定を解説するJリーグ公式ネット番組「Jリーグジャッジリプレイ」5月9日の配信では、日本サッカー協会(JFA)審判委員会のレイモンド・オリバー副委員長が「(中村と川辺のシュート)2つともゴールだったと思います」と発言し、誤審であったことを認めている。
判定の精度向上をめぐって盛んに取り沙汰されるのが、ワールドカップ(W杯)でも採用された「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」や「GLT(ゴールライン・テクノロジー)」など技術・制度のJリーグ導入だ。上記配信でオリバー氏も「VARやGLTが導入されていれば、これらは絶対に見直しがされていた事象だと思います」と付け加えていた。
清水氏も、ゴール判定の改善にはGLT、VARと、AAR(追加副審)を加えた3つの方法があり、「それぞれ課題があります」と述べる。
「GLTはゴール判定に特化したシステムで、完璧な改善が期待できます。競技に対する影響もほぼ無し。自動判定システムが、ゴールorノーゴールの判定を、主審の時計に即時伝送するやり方なので、試合を中断させることもありません。
問題は高価であることでしょう。設置費用にスタジアム当たり約3000万円。維持管理に約500万円かかります。これを試合が行われるスタジアム全部に導入すると、大変な金額になります」