新たな時代で問われる救援投手の「価値」
名球会会員の資格は、日米通算で打者が2000本安打以上、投手は200勝以上、もしくは250セーブ以上である。投手の資格に関してホールドの項目はなく、現状では日米通算100勝100セーブ100ホールドをもってしても上原の会員資格はない。一部野球ファンからは上原の球界に対する貢献度から名球会入りを認めても良いのではないかという声も上がっている。
上原の名球会入りについては、昨年11月に行われた名球会総会で議論されている。近年、日米を通じて投手の「分業制」が進んでおり、先発完投の概念は薄まりつつある。「分業制」により、中継ぎ、抑え投手の重要性がより明確となっていることから資格見直しの声が上がり、総会では約1時間半にわたり投手の会員資格に関して議論が交わされたという。しかし、話し合いの中で結論は出ず、新たな資格を盛り込むか否かは先送りとなった。
名球会会員の内訳を見ても分かる通り、投手の数が圧倒的に少ない。日本球界を代表する投手でも200勝の壁は厚く、上原の先輩であり巨人で20年間活躍した桑田真澄氏(51)でさえ通算173勝と、200勝には届いていない。また、過去に100勝100セーブを記録した投手がいたこともあり、勝利数とセーブ数を合算させた新たな資格が検討されたこともあったというが、現在までそれは実現に至っていない。
上原の引退を受けて名球会は改めて投手の資格に関して話し合いの場が持たれると見込まれるが、上原が球界に与えた多大な功績を考慮すれば、検討の余地は大いにあるだろう。