なぜ左も右もパンチが見えないのか! 井上尚弥、「最強」を「瞬殺」できた理由

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「決勝に進めたことにホッとしている」

   大橋会長が指摘した「防御テクニック」もまた、井上がKOパンチを生み出す大きな要因となっているという。オールラウンダータイプの井上は、離れてのロングレンジ、接近戦からのショートなど、あらゆる距離から強いパンチが打てる。それを可能とするのが卓越した「防御テクニック」だ。

   井上は幼いころから防御練習を徹底的に行ってきた。数字的に見ても飛びぬけて動体視力が良いわけではなく、反射神経も一般人とあまり変わらないという。ともすれば自身も倒されかねない危険な距離で勝負できるのは、この「防御テクニック」があってのものだと、大橋会長は言っていた。

   井上の規格外の強さは世界でも評価が高く、一部報道によると、米国の有力プロモーターとの契約が実現しそうだという。軽量級の東洋人ボクサーが米国の有力プロモーターと契約するケースは珍しく、世界的な「価値」を認められた証明でもある。世界複数階級制覇、団体統一。稀代の王者は日本ボクシング界の新たな歴史を切り開く。

   くしくも5月19日は、白井義男氏が67年前の1952年に日本初の世界王座を獲得した記念すべき日であり、日本プロボクシング協会が「ボクシングの日」に指定している。新元号・令和になってから世界戦で連敗を記録していた日本ボクシング界だったが、日本のエースが新元号初の世界戦勝利を挙げた。「決勝に進めたことにホッとしている」と思わず本音を漏らした井上。新時代の「モンスター」はどこまで進化するのか。それは計り知れない。

(J-CASTニュース編集部 木村直樹)

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