野球の監督が選手と同じユニフォームを着用してベンチにいる姿は、野球ファンにとって見慣れた光景だろう。野球は監督だけでなく、コーチもお揃いのユニフォームを着てベンチ入りしている。野球以外のスポーツに目を向けてみると、どうだろう。監督が選手と同じユニフォームを着用しているケースを目にすることはほとんどといっていいほどなく、あるとすればソフトボールくらいだろう。では、なぜ野球の監督はユニフォームを着て指揮を執るのだろうか。J-CASTニュース編集部は、ユニフォームの「謎」に迫ってみた。
野球ファンの中には、学生時代に学校なり、地元の野球チームに所属してプレーしていた方も多いことだろう。おそらくチームの監督のほとんどは試合になればユニフォームを着ていたはずだ。中にはジャージ姿で指揮を執る監督もいたであろうが、アマチュア野球でも試合中の監督の「正装」はユニフォームであると共通認識されているだろう。アマチュアスポーツにおいて、試合中の監督の服装は様々であろうが、さすがに選手と同じユニフォーム姿の指導者はいないだろう。
最有力は「プレイングマネージャー」説
野球の監督が試合中に選手と同じユニフォームを着用する理由について諸説あるが、有力とされているのが、監督が選手を兼任する「プレイングマネージャー」に基づくもの。野球は19世紀に入ってから現在の形に近い競技となったとされ、当時はチームに専任の監督を置くことがなく、チームキャプテンが指揮を執っていたという。選手が「監督」を兼任していたことから、必然的にユニフォームを着用し、その流れを引き継いでいるという説が有力視されている。日本のプロ野球においても「プレイングマネージャー」として活躍した選手兼監督は多い。
上記と異なる説としてあるのが、野球とその他のスポーツのルールの違いに由来するものだ。プロ野球の監督は、選手交代を告げる時や審判団にリプレイ検証を求める時など、グラウンドに足を踏み入れることが許されており、「プレイングマネージャー」ならば当然、グラウンドに立つ。サッカーやラグビーなどに見られるように多くのスポーツでは、監督のグラウンド内への立ち入りが禁止されている。ゆえに、他のスポーツとは異なり、選手と同じフィールドに立つことができるプロ野球の監督は、選手同様の「正装」が求められるという説もある。
ユニフォームの起源は南北戦争?
ルールでは、プロ野球の監督にユニフォーム着用の義務はなく、自由な服装でベンチ入りすることが可能である。MLBでは過去にコニー・マック監督が私服で指揮を執り、スーツ姿が定番の「正装」だった。ただ、現在は日米を通じてプロ野球の監督の「正装」はユニフォームで定着しており、私服姿の指揮官は、お目にかかることはない。
また、米国では1861年に勃発した南北戦争をきっかけに、ユニフォームが米国全土に広がったとされている。戦争中ということもあり野球の試合に出場する選手の多くが、いつ戦地に呼ばれてもいいように軍服と軍帽を着用しており、戦時下の軍人の「正装」が、現在のユニフォームの起源となっているという説もある。
野球の監督がなぜユニフォームを着用するかについては諸説あるものの、いずれにせよ野球の監督はユニフォーム姿がよく似合う。監督のユニフォーム姿に監督の現役時代を思い出すファンも多いことだろう。