レオパレス、見えぬ打開策 「この難局を乗り切る」新社長は力を込めたが...

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   「一定のけじめをつけ、責任を果たす意味で社長を辞任する」――深山英世社長の言葉は、今回の辞任が「引責」であることを認めるものだった。

   賃貸アパート大手のレオパレス21の2019年3月期連結決算。昨春以降に発覚した施工不良問題の影響で8期ぶりの最終赤字に転落した。5月10日の発表会見では、創業家の深山社長が代表権のない取締役に退き、後任に宮尾文也取締役常務執行役員が昇格する人事も合わせて明らかにされた。

  • レオパレス本社(Lombrosoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    レオパレス本社(Lombrosoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • レオパレス本社(Lombrosoさん撮影、Wikimedia Commonsより)

リーマン後に続く「ワースト2位」の大幅赤字

   レオパレスが発表した3月期連結決算は、長期化する施工不良問題の影響で最終損益が686億円の赤字となった。これはリーマン・シヨック後の2010年3月期の790億円に次ぎ、過去2番目の大幅な赤字となった。

   深山社長は施工不良が起きた原因について「(社内で)順法性に対する意識がかなり欠けていたのではないか。商品開発も急いでいた。順法性を担保しなければならない組織がスピードについていけず、こういうことになったのだろう」と述べた。さらに「全棟を調査して状態をはっきりさせようとしたが、図面(設計図)と(建築した建物に)齟齬があるようなことを想定していなかった。認識が甘いと言われればその通りだ」とも述べ、自らの経営責任を認めた。

   次期社長に就任する宮尾氏は「ワンルームのアパートは生活の必需品。世の中の社会基盤を担っている自負がある。この難局を乗り切って、もう一度レオパレスをご利用いただけるよう早急に取り組みたい」と延べたが、具体策は示さなかった。

調査が進めばさらに「施工不良」増える可能性も

   国土交通省はレオパレスに対し、不備のある物件の補修を夏までに完了するよう指示している。このため宮尾次期社長は「入居者募集を停止している物件の補修を早期に終え、募集を再開することが重要だ」と述べ、今夏までに全棟の調査と補修を終え、下期となる10月以降の早い段階で入居者募集の再開を目指す考えを示した。

   しかし、レオパレスは調査対象の全3万9085頭のうち、3月末時点で調査が終わったのは約半数に過ぎない。しかも、調査が済んだ物件の7割に当たる1万4599棟で不備が見つかっており、今回の大幅赤字に結びついた。残る調査が進むにつれ、施工不良物件がさらに増え、補修が長期化することも予想される。宮尾次期社長は下期の募集再開を念頭に、2020年3月期は最終黒字を確保する見通しを示したが、調査の進展しだいで楽観はできそうにない。

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