日本と米国、始球式の「決定的な違い」 ショー色強いNPB、対してMLBは...

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   プロ野球の2019年シーズン序盤戦が盛り上がりを見せている。セ・パ両リーグが2019年5月8日に発表したところによると、セ・リーグの観客動員数は5月2日時点で、1試合平均が前年同時期比で1.0%増の3万3606人。パ・リーグは5月3日時点で、1試合平均は前年同時期比で6.3%増の2万7328人となっている。

   ここ最近は球場に足を運ぶファンが年々増えている傾向にあるが、試合観戦の楽しみのひとつとして挙げられるのが始球式だろう。プロ野球で頻繁に行われる始球式はいつから行われるようになったのか。また、日米での違いは?J-CASTニュース編集部が日米の始球式の「あり方」に迫った。

   野球ファンならずとも、プロ野球の始球式の模様をご覧になった方は多いだろう。日本では試合前の恒例行事として定着しており、MLBでも日本同様に始球式は行われる。日本の始球式は、1908年に早大野球部が米国のプロチームと対戦した際に、早大の大隈重信総長が行ったものが始まりといわれている。一方の米国では、日本より遅れること2年、1910年のワシントン・セネタースの開幕戦で当時の大統領、ウィリアム・ハワード・タフト氏が行ったものが最初とされている。

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日本は人気タレント、メジャーはレジェンドを起用

   日米の始球式の起源となる人物はともに歴史上の人物だが、現在の日米の始球式はどのような人物が行っているのか。日米のプロ野球球団で勤務していた元職員は、日米の決定的な違いを指摘する。

「日本の場合、人気のあるタレントやスポンサー企業のお偉方を起用する、いわゆるビジネス的な要素が大きいですが、メジャーでは偉大な功績を残したレジェンドや、チームのOBらが始球式を行うケースが多いです。文化の違いもあるでしょう。メジャーの始球式の位置付けは、ファンサービスというよりも、その人物の功績を称えるという意味合いが強いと思います。そこに何らかのストーリーがあることが必要で、日本のように客寄せパンダ的な人気があるタレントを起用することは好まれません」

   また、日本の始球式でたびたび話題に上がる「ノーバン」投球が、メジャーで話題になることはないという。日本ではマウンドから投球することが恒例化しているが、メジャーで始球式を行う者は、マウンドからの投球にこだわらないという。ホームに届く距離を自身で見極め、プレートのずっと前から投球するケースも見られる。メジャーの始球式において、「ノーバン」で投げることよりも、始球式の行為そのものが誇りであり、日本のように、そこにショー的な要素は含まれない。

選手「待たせる」日本式は改善の余地も

   日本ではつい最近、女性タレントの始球式が物議をかもした。この女性タレントのケースでは、緊張のせいか、なかなか投球出来ずに試合が遅延。小雨の中、選手はグランド上で4分間、待たされる形となった。前出の元職員は、メジャーではこのような光景はまずありえないと言及する。メジャーの始球式では選手がグランドに立つことはなく、球を受ける捕手だけが守備位置に着くのがスタンダードだという。そのため選手が始球式の「影響」を受けることはなく、普段通りにゲームに入ることが出来る。

「日米の始球式の一番の違いは、始球式の間の選手の処遇です。メジャーでは、選手が準備運動などをしている間に始球式が行われますが、日本では選手はグランドに出ています。始球式の間、先発ピッチャーが傍らに立っているのはメジャーでは考えられません。これは日本もメジャーも共通していえることですが、ピッチャーはダッグアウトを出た瞬間からアドレナリンが出て『試合モード』に入りますから、始球式の間、待たされるのは非常にやりづらいはず。始球式に芸能人を起用するのは、ファンサービスの一環としてありだとは思いますが、選手をグランドで待たせるシステムは改善の余地があるのではないでしょうか」(元球団職員)

   ファンあってのプロ野球だが、試合を主催する球団は現行の始球式の「あり方」を今一度、見直す必要があるのかもしれない。

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