作家・百田尚樹氏の著書『日本国紀』(幻冬舎)を批判したら、自著が出せなくなった――。作家の津原泰水(つはらやすみ)氏がツイッターでこんな訴えをしている。
同氏は幻冬舎から文庫本の出版を予定していたが、『日本国紀』の問題点を指摘したところ、出版が急遽取りやめになったとしている。一方、幻冬舎は取材に対して、「事実ではありません」と反論する。
「パクリ」指摘し謝罪要求
津原氏は2019年5月13日、ツイッターで「幻冬舎から文庫出せなくなった」と明かした。その後の投稿によれば、幻冬舎文庫から19年4月に刊行予定だった小説『ヒッキーヒッキーシェイク』が、同年1月ごろに突如、出版中止を告げられた。
理由については、担当者を通じて「『日本国紀』販売のモチベーションを下げている者の著作に営業部は協力できない」と説明され、津原氏は「ゲラが出て、カバー画は9割がた上がり、解説も依頼してあったんですよ。前代未聞です」と憤りを隠さない。
津原氏はツイッターで、『日本国紀』がネットの情報を無断引用しているとたびたび指摘しており、「同じ幻冬舎から本を出す作家の立場から、世間に謝罪すべき(ならば浮かぶ瀬もある)と提言した。百田氏にもそうコメントしました。何故か返事は無いままです」ともつづっていた。
なお、『ヒッキーヒッキーシェイク』は、2016年の文学賞「織田作之助賞」の最終候補作に残った作品。一連の経緯から幻冬舎から出版できなくなったとしているが、19年6月に早川書房から刊行予定だ。