立憲民主党の枝野幸男代表が2019年5月14日、「正規雇用が原則という社会を取り戻さないといけない」などと持論を展開した。国会内で行われた学生らとの討論会での発言だ。最低賃金引き上げの必要性を指摘する学生らの声に応える形で、「労働法制を再強化しないといけない」として、規制緩和のあり方を見直すべきだとの見方を示した。
立憲は18年5月に提出した働き方改革関連法案の対案で、雇用対策法の基本理念などの「望めば正規労働者になることができる社会」を盛り込んだことがある。今回の枝野氏の発言では、さらにその方向性を明確化したとも言えそうだ。
仮に最賃が時給3000円になっても「子どもを生み育てるには不十分」
枝野氏らは、若者の声を政治に反映させる運動をしている「日本若者協議会」が開いたイベント「ユース・パーラメント」(意見交換会)に出席。学生側の政策提言に対して国会議員らが見解を述べるという形式で進行された。多岐にわたる政策提言のひとつが最低賃金(最賃)に関するものだ。18年度の最低賃金は全国平均で時給874円。政府は17年に策定した「働き方改革実行計画」で、年に3%程度引き上げて全国平均1000円を目指している。政策提言では、引き上げ幅は3%では不十分で5%程度は必要だと指摘。これに対して枝野氏が反応した。
枝野氏は、最賃引き上げは必要だとしながら、
「逆に言えば最賃(の下限)に張り付いているような人たちの比率を大幅に減らすことの方が必要」
だと主張。仮に最賃が時給3000円になっても
「子どもを生み育てるには不十分なぐらいの収入にしかならない」
と指摘した。
「最初は最賃(最低賃金)を上げるけれども、正規雇用が原則という社会を取り戻さないといけないのではないか。本当に本心から(非正規雇用を)希望する人以外は、人は正規雇用で雇え、と。正規雇用で雇って、少なくとも希望すれば家族を持って子どもを産み育てるための収入を保証しろ、という社会にしていくことの方が多分効果的なのではないか」
とも述べ、枝野氏は具体的な対応として、
「そのためには労働法制を再強化しないといけない。規制緩和しすぎたところを強化しないといけない」
とも述べたが、同時にその「副作用」や、実現に向けたハードルの高さにも言及した。
「これは段階的にしかできないし、段階的でないと多分中小企業が倒れて、経済(の悪化)で結果的に失業者を増やしてしまうので、ものすごくハンドリングが難しい」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)