女性アナウンサーの登竜門として知られる慶應義塾大の「ミス慶應コンテスト」で、トラブルが起きている。
同名義のコンテストが2つの団体により開催され、お互い弁護士を立てて正当性を主張している。両者の言い分を聞いた。
別団体に「内容証明」送付
慶大生による学生団体「KOPURE」が主催する「ミス慶應コンテスト」が2019年5月8日、出場者6人を発表した。
ところがその2日後、別の学生団体「ミス慶應コンテスト2019実行委員会」(以下、実行委員会)が同名のコンテストの出場者7人を発表した。
実行委員会は4月27日、ミスコンの開催実績がない「KOPURE」が同名の企画を進めているとして、弁護士を通じて「KOPURE」に内容証明(警告書)を送ったと発表している。実行委員会は昨年に続き、2度目の開催だ。
「KOPURE」側は5月2日、「弁護士に相談致しましたが、ミス慶應コンテストないしそれに実施年を付した名称は特定の団体が独占使用する性質のものではなく、また、弊団体のホームページにおいて信用を害する違法な行為は認められないとの回答をいただいております」と公式サイトで反論した。
実行委員会のコンテストには、化粧品大手「DHC(ディーエイチシー)」やフジテレビのアナウンサー養成所など複数の協賛企業がおり、優勝者には100万円、準優勝2人には30万を用意している。一方、「KOPURE」はそうした発表は無い。
不祥事相次ぐ慶應ミスコン
「ミス慶應」は女性アナウンサーの登竜門として知られているが、09年に主催団体「広告学研究会」の男子学生9人が、商店街から駅構内にかけて全裸で疾走したとして、公然わいせつ容疑で書類送検された。この影響で同研究会は無期限で活動を停止することを発表し、10年の「ミス慶應」は中止になったが、11年に復活。
16年には同団体が集団強姦事件(不起訴処分)を起こし、団体は解散。コンテストも中止となった。
17年には別の団体「KJ」(旧 慶應ジャーナル)が応募資格を拡大してコンテストを事実上復活させたが、18年にはさらに前述の実行委員会がコンテストを立ち上げ、KJは「諸事情により」撤退。結果的にミスコンは一本化された。
「KOPURE」「実行委員会」の言い分は?
19年に新規参入した「KOPURE」は5月11日、J-CASTニュースの取材に、開催の理由を「かつてのミス慶應コンテストは、ミスキャンの中で最も注目度が高く、最も期待されていたと思います。当時のように、多くの人々から支持される、権威のあるコンテストを作り上げることで、大学全体を盛り上げたいと考えたからです」と主張する。
「これは主観ですが、これまでのミスコンテストでは、各団体の伝統が制約となり、新しい挑戦をするハードルが高かったように思います。しかし、私たちは新しく立ち上がったばかりの団体です。何色にも染まっていない私たちだからこそ、ファイナリストや視聴者の皆さまのご要望に積極的に耳を傾け、今までのミスコンには無かったようなイベントや企画を催すことができると考えています」
現在、慶大生10人が所属し、昨年のコンテスト出場者も広報活動に協力する。複数の企業から協賛の打診があり、入選者への特典は「現在検討中です。詳細が決定次第、HPにて告知させていただきます」とする。
一方、慶大生21人が所属する実行委員会は、取材に「こんな小競り合いが起こるとは予想できなかった。こんなことに(出場者を)巻き込んでしまったことは申し訳ない。KOPURE側の募集を2018年度開催実績のある当団体の正規のものと勘違いして応募した人がいたということなので残念である」として、今後はより一層広報活動に力を入れていく構えだ。