トヨタはFRを高級車にシフト
マークXの生産終了で、トヨタはもちろん、日本車全体を見回してもFR車はますます絶滅危惧種となる。後輪のみが駆動するFRは、アクセル操作でクルマを後ろから押し出す感覚があり、前輪の操舵と組み合わせ、クルマを自在にコントロールする楽しみがあり、スポーツドライビングに向いている。
しかし、FRはエンジンの駆動力を後輪に伝えるプロペラシャフトなど部品点数と重量がかさみ、スペース効率も高くない。このため、乗用車は小型車を中心に効率性を重視し、FF化とFFベースの4WD化が進んだ。日本車でFRとして残っているのは「トヨタ86」「スバルBRZ」の姉妹車と、「マツダロードスター」、「日産フェアレディZ」などスポーツカーが中心で、日産も「スカイライン」など高級セダンの一部に残るのみ。
トヨタの場合、マークXの生産終了でセダンのFRはセンチュリーとクラウンの高級車のみとなるが、高級ブランドのレクサスでは「IS」「LC」「GS」「LS」などでFRは健在で、トヨタがメルセデス・ベンツやBMW同様、FRを高級車にシフトしていることがわかる。
トヨタは商用車ベースの「ハイエースワゴン」には後輪駆動車が存在するが、こちらは商用車として重い荷物を運ぶために後輪駆動となっているので別格だ。ミニバンも「エスティマ」「アルファード」など主流モデルは既にFFとなっている。SUVの「ハイラックス」はパートタイム4WDなので後輪駆動車としても使えるが、こちらは本格オフロード車として別格だ。