国民民主党の解散を求めたことで波紋を広げた菅直人元首相(立憲民主党最高顧問)が、今度は野党の結集を呼びかけた。2019年5月12日付のブログで持論を展開した。
菅氏によると、仮に衆参ダブル選が行われれば野党にとって「チャンス」。「原発ゼロ」で野党の足並みがそろえば、野党合流に向けたハードルが下がり、「政権交代をかけたダブル選挙」になると主張。その結果「地滑り的勝利を実現することも夢ではありません」というのだ。
「主要野党の合流のハードルは低くなり」...
原発をめぐっては、設置が義務化されたテロ対策施設の建設が遅れており、原子力規制委員会が4月24日、電力会社が求めていた設置期限の延長を認めないことを決めている。再稼働済みの九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は19年3月に期限を迎える予定で、それまでに施設が完成していなければ運転停止を迫られる。菅氏は、こういったことを念頭に
「電力会社やその労働組合にとっても巨額の費用が必要となる重大事故対策施設を整備するよりも、再エネへの転換を進める方が経営的にもプラスになるはずです」
などとして原発を断念する方が合理的だと主張。主要野党間で「原発ゼロ」で合意できれば主要野党間では政策上の「大きな相違」がなくなるとして、
「そうすれば衆参選挙で一人区での候補者の統一だけだなく、主要野党の合流のハードルは低くなり、政権交代をかけたダブル選挙になります」(原文ママ)
などと独自の見通しを披露した。さらに、
「原発ゼロ政策は小泉元総理をはじめ自民党支持者にも多くの支持者がいます」
とも主張した。ツイッターにも
「主要野党が一致して原発ゼロを明確に主張すればダブル選で地滑り的勝利を実現することも夢ではありません」
と書き込んだ。
参院選投票で「重視する政策」は...
なお、朝日新聞社が19年3月から4月にかけて郵送で行った「憲法と政治意識の世論調査」で、参院選で投票先を決める際に「重視する政策」を複数回答で選んでもらったところ、最も多かったのが「景気・雇用」で66%。「社会保障・福祉」(65%)、「教育・子育て」(46%)、「外交・安全保障」(36%)、「震災復興」(32%)、「消費税増税」(31%)「財政再建」(31%)と続き、その次が「原子力発電・エネルギー」(25%)だった。菅氏との期待感とは反対に、原発政策で投票先を決めようと考えている人は必ずしも多くない。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)