DeNAは2019年5月12日、マツダスタジアムで広島と対戦し1-8の大敗を喫した。DeNAの先発・京山将弥投手(20)が初回から制球が定まらず、3回7安打5失点と大乱調だった。後続も広島打線を抑え込むことが出来ず、大量8点を失った。DeNAの得点は、伊藤光捕手(30)のソロ本塁打の1点のみ。広島に連敗したチームは借金が「11」に膨らみ、5月はここまで3勝7敗と低迷が続いている。
泥沼の5連敗から1勝をはさんでの2連敗。浮上のきっかけがつかめないDeNAだが、12日の試合はその象徴的なものだった。不安定な先発陣にチャンスで打てない打線。そしてラミレス監督(44)の奇策ともとれる采配。DeNAファンから「またか」のため息がもれるような試合内容だった。
低迷するチーム状態はもちろんのこと、DeNAファンを落胆させているのがラミレス監督の采配だ。ここまでネット上ではラミレス采配に批判的な声が多く見られたが、とりわけ物議をかもしたのは、捕手に関するもの。今シーズン、捕手についての采配が2度ほど話題に上がったが、12日の試合でラミレス監督が行った捕手の途中交代がファンの批判の的となっている。
捕手の起用、交代にファンの不満も頂点に...
時系列で振り返ると、まず最初は4月25日の阪神戦のこと。2点リードで迎えた9回、マウンドには守護神・山﨑康晃投手(26)が。山崎は先頭に四球を与え、続く打者の犠打を1塁へ悪送球し、無死1、2塁のピンチを招いた。ここでラミレス監督が動いた。山崎との相性がいいとして捕手を伊藤から嶺井博希(28)に交代。結局、試合は9回に3点を許して逆転負けを喫し、ラミレス采配に疑問の声が殺到した。
そして2度目は、5月6日の巨人戦だ。この日の先発は、左肘の違和感で出遅れていた東克樹投手(23)。今季初先発となった東の「女房役」としてラミレス監督が抜擢したのが、山本祐大捕手(20)だった。2軍で東とバッテリーを組んでいたことで、山本のプロ初のスタメンマスクが実現したが、結果、今季初先発の東をリードしきれず4回に嶺井と交代。そして、翌7日に出場選手登録を抹消され2軍に降格した。この采配と非情降格に一部ファンから批判の声が寄せられていた。
この山本に代わって1軍に昇格したのが、3度目の「主人公」となる戸柱恭孝捕手(29)だ。今季2度目のスタメンマスクとなった戸柱は、マツダスタジアムでの好成績を理由に起用されたが、2回途中で交代の宣告を。4点のリードを許し、2死1、3塁の場面での交代劇。イニング途中で、しかも2死からの異例ともいえる捕手交代にネットでは「疑問」と「批判」の声が殺到した。
「マイ・ベストコーチ」の退団の影響は...
在京の球団関係者は、ラミレス監督の采配に関して、DeNAの前バッテリーコーチである光山英和氏(53)が抜けたことが大きく影響していると指摘する。光山氏は昨シーズンまでラミレス監督の右腕として手腕を振るってきた。ラミレス監督は「マイ・ベストコーチ」と全幅の信頼を寄せていたが、昨オフにDeNAを退団して楽天のコーチに就任した。
光山氏は現役時代、捕手として活躍し、近鉄では野茂英雄氏とバッテリーを組んでいた実力者。DeNAでは、投手や捕手と監督のパイプ役としてチームに貢献し、選手からの信頼も絶大だったという。
前出の関係者は「光山さんが退団した時に、バッテリーに関してシーズン中に問題が起こるだろうと、ある程度予想していましたが、実際、ラミレス監督の迷走ぶりは想像を超えています。ラミレス監督はデータを重視する配球で一時期、評価を受けていましたが、それも光山さんの助言があってのもの。選手のラミレス監督への不信感も光山さんがなだめていたと聞いています。光山さんは監督にしっかりものを言う人でしたし、選手からの信頼も厚い。今のコーチ陣の中に光山さんの代わりになる人物がいるかといえば疑問です。このままだとチームが空中分解しかねません」と厳しい口調で指摘する。
自身が抜擢しながら早期交代、2軍降格の非情采配を見せるラミレス監督。5月に入ってもチーム状態は上向くことはなく、借金は膨らむ一方だ。シーズン序盤とはいえ、早くもペナントの4分の1は消化している。勝率は12球団唯一の3割台。ラミレス監督は泥沼からいつ抜け出せるのか。