スーパー、コンビニの反発で難しかったが...
食品メーカーなどの値上げに対してはこれまで、デフレ下におかれている消費者の抵抗はもちろん、スーパーやコンビニエンスストアなど小売りサイドの反発が強かったため、なかなか実現できなかったとも言われている。しかし、流通業界に詳しいアナリストは「小売りサイドも、これ以上拒絶したら、メーカーから商品を卸してもらえないほど状況は差し迫っていると思っている。さすがにもう値上げはやむを得ないと受け入れ始めているのが実態だ」と話す。小売り側の理解が広がる中、メーカーの値上げの動きは今後も進んでいく可能性が高い。
ただ、10月に予定される消費税率10%への引き上げとの兼ね合いもある。増税に合わせて値上げすると「便乗値上げ」と言われかねず、今春が「増税前のラストチャンス」(ある食品メーカー関係者)というわけだ。
とはいえ、増税を前に、企業が値上げに踏み切るリスクは決して小さくない。消費者にとっては賃金がさして上がらない中、ほんの少しの値上げでも負担感は大きく、買い控えにつながりかねないからだ。「値上げしても消費者が納得できるだけの価値をもった商品やサービスをどう提供できるかがカギになる」(アナリスト)との指摘は多く、食品や外食企業にとってはいっそうの努力が求められる。