新人時代は給料の半分ほどが用具代に
では、グローブはどうだろう。プロ野球選手は1試合にいくつのグローブを用意するのだろうか。現役時代、捕手として活躍した野口氏は、キャッチャーミットを常時、3つ用意していたという。練習用、試合用、そして雨が降った時に使用するもの。また、野口氏は捕手の他に1塁や外野を守る機会があったため、ファーストミットと外野手用のグローブも携帯していた。選手によってはひとつのグローブをメンテナンスしながら長く使用する者がいるが、一日に140キロを超えるプロの投手の球を100球以上受けるキャッチャーミットは消耗が激しく、丁寧にメンテナンスしても、持って2年ほどだったという。
1軍で活躍するプロ野球選手のほとんどが、野球用具メーカーとアドバイザー契約や用具提供契約などを結び、メーカーから用具を提供してもらっている。野口氏も長らく野球用具メーカーから用具の提供を受けていたというが、高卒で入団したヤクルトの1年目は全て自腹で用具を購入していたという。
野口氏は「私がヤクルトに入団した当時は、球団の方針として高卒ルーキーはみな自分で野球道具を購入するようになっていました。スパイクだけは球団から支給されましたが、バットやグローブなどは全て自腹です。野球用具は決して安くはありませんから、当時、給料の半分ほどが用具の費用になりました。この球団の方針は、自分で用具を購入することで選手に用具の大切さを学ばせ、技を磨くことを目的としたもので、私も改めて用具の大切さを学びました」と振り返った。