手当受け取り「感じない」、2年前は85%も
処遇改善手当を受け取っているかについて、「まったく感じない」「あまり感じない」と答えた人は、85%も占めた。1年ほど前の調査では、処遇改善が行き渡っているかについて、98%が否定しており、処遇改善を実感している割合がわずかに伸びた程度だった。
保育士の多くが処遇改善手当を「受け取ってる感じがしない」と答えていたことについて、ネオキャリアグループで保育事業を手がけるFINEの担当者は、取材にこう答えた。
「補助金を保育士などにどう分配するかは、各保育園に多くのことが任せられています。このため、手当の額を減らしたりなどするところも多く、中には基本給を下げて手当を支払うところもあったと聞きます。その後は、保育士不足で給与が上がってきていますが、命を預かる仕事でほかの職種より業務量も多いため、処遇改善を感じない人がまだまだ多いと思います」
保育園の労働組合関係者は、国や自治体の処遇改善手当が保育園の全員に割り振られていないことも原因ではないかとみる。
「保育園は行政に報告書を出さないといけないので、園長など一部だけに手当を出すのは難しいと思います。しかし、手当が付く人と付かない人がおり、手当の一部が分配されたりしており、保育士全員の引き上げにはなっていないわけです」
内閣府の子ども・子育て本部は、処遇改善手当について、「保育園では、職員の賃金に確実に充ててほしいと各自治体に周知しています。こちらでは、各自治体で適切に運用されていると考えています」と取材に答えた。また、都の保育支援課でも、「補助金の分は保育士などの人件費に支払うのが基本であり、ほかの用途に使われているとは聞いていません」とした。
都では、もし保育士に支払われていないことが分かれば、補助金ストップなどの是正措置をすることを交付要綱の中で明記しており、今までにこうしたケースは聞いていないという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)