駅の券売機がATM代わりになる。しかも、キャッシュカードはいらない――となると、一気に「近未来」へ突入した感がある。新たな時代「令和」の始まりとともに、そんな新サービスが登場する。
東急電鉄の各駅では、連休明けの2019年5月8日から、スマートフォンを利用して券売機で銀行預貯金を引出せるようになる。横浜銀行とGMOペイメントゲートウェイ(東京都渋谷区)が開発した仕組みを利用したもので、同行とゆうちょ銀行の口座から出金できる。
券売機にQRコードをかざして出金
ATMではなく、店舗のレジなどで出金できるサービスを「キャッシュアウト」と呼ぶが、駅券売機で行われるのは「日本初の取り組み」(発表文より)。今回対応するのは、こどもの国線、世田谷線を除く6路線85駅。平日、土日祝日を問わず、5時30分~23時に利用できる。
横浜銀行のスマホアプリ「はまPay」、もしくは、ゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」で引き出す金額を指定して、アプリ上のQRコードを券売機の読み取り機にかざす。1万円、2万円、3万円の3パターンから金額を選ぶと、券売機から紙幣(1日上限3万円)が出てくる仕組みだ。
出金手数料は、横浜銀行が平日108円、土日祝日216円(いずれも税別)、ゆうちょ銀行が終日108円(税込、20年1月3日までを予定)だが、サービス開始から19年6月30日までは手数料無料となる。今後は東急沿線以外でのサービス提供も検討するとし、駅での現金受け取りにより「地域の課題を解決し、利便性向上に寄与」するとしている。
券売機ではないキャッシュアウトには、先行例がある。キャッシュカードで買い物できる「J-Debit(ジェイデビット)」の仕組みを応用して、レジで暗証番号を入力すると現金を引き出せるもので、18年4月から一部の「イオン」などに導入されているが、まだ浸透しているとは言えない状況だ。