コンビニでは当たり前になってきたQRコード決済。各社が高還元率のキャンペーンを打つなか、スーパーマーケットにも導入の動きが出てきた。関東と山梨県内にあるイオン32店舗では、2019年4月17日から、「PayPay(ペイペイ)」によるレジ決済に対応した。店舗によって各レジの対応状況は異なるが、食料品や衣料品、日用品の売り場を中心に利用できるという。
キャッシュレス好きのJ-CASTニュース記者が、実際の導入店舗をめぐって、その使い心地を試してみると、普及に向けての課題が見えてきた。
バーコードリーダーを探して、引き出しガサゴソ
記者は4月下旬、対応店舗へ行って、使い勝手を体験してみた。まず訪れたのは、編集部(東京都千代田区)から片道1時間ほどの「イオン」。対応レジの目印は「こちらのレジでPayPayご利用いただけます」のポスターだが、食品売り場を何周かしても見つけられなかった。日用品売り場では、PayPayのステッカーが貼られていたため、食品レジでは未対応なのかもしれない。
さらに1時間かけて、別の「イオン」へ。ここでは約20ある食品レジのうち、5つにポスターが掲げられていた。飲み物片手、スマホ片手で会計へ進むと、店員さんが画面に気付いたようで、すぐさま「PayPayですね」と反応。これはスピーディーに処理してくれそう......と思ったが、「あれーっ?」と店員の焦り声が。レジカウンターの引き出しを次々と開け、オレンジ色のバーコードリーダーが見つかったのは、それから数秒後だった。
見たところ、このリーダーでスマホ画面上のバーコードを読み取る形だが、レジ本体とは連携していないため、別途レジ打ちが必要になるようだ。レシートは、レジからとリーダーから、あわせて2枚出てくる。最初のゴタゴタもあってか、後のお客さんを少し待たせてしまった。あと1店舗、「イオンスタイル」にも行ってみたが、こちらでは比較的スムーズに決済できた。
現実的な落としどころは?
インターネットをめぐっていると、イオンに先がけて、PayPayを試験導入しているスーパーがあるとの情報を見つけた。神奈川県を中心に、1都3県に展開する「食生活 ロピア」だ。こちらにも出向くと、柱ごとに張られた「PayPay使えます」のポスターが、すぐ目に入った。
こちらは、店員が差し出す紙片のQRコードを、客のスマートフォンで読み取る形式。客がみずからPayPayアプリに金額を入力し、店員確認の上で支払う。なお、ここではクレジットカードが使えず、現金以外の唯一の決済手段がPayPayだった。イオンは導入直後とあって、まだオペレーションが浸透していない感があったが、ロピアでは慣れている印象を受けた。
客か店員かの違いはあるが、現状ではイオンとロピアのどちらも、金額を手入力する必要がある。そのため現金やクレカ決済より時間がかかり、小心者の筆者は「後ろのお客さんに申し訳ないな」と思うほどだった。加えて、入力ミスによる時間のロスも考えなくてはいけない。居酒屋であればまだしも、客が次から次へと流れるスーパーマーケットでは、必ずしも「最適解」とは言えない気がする。
一方で、レジと連携できるリーダーを導入するのは、主にコスト面でハードルが高い。「QRコードも使えるレジ」から一歩踏み込んで、台数を絞ってでも、高速道路の料金所のような「QRコード優先レーン」とするあたりが、現実的な落としどころなのかもしれない。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)