「令和」に沸く、史上初の10連休のゴールデンウイークも後半戦に突入。2019年5月3日は好天に恵まれ絶好の行楽日和。クルマで出掛けている人、そして旅行を楽しんで帰路につく人も少なくないだろう。
そこに待ち構えているのが「渋滞」だ。今年のGWは休みが長いため、混雑がいくらか分散されるといわれたが、高速道路に乗ってみると、いきなり長蛇の列ということも。それもそのはず。渋滞解消に向けてクルマの「分散」を狙ったものの、うまく機能していないらしい。
東名高速で1時間、新東名なら10分で到着
東名高速道路の渋滞エリアといえば、東京~川崎・町田インターチェンジ(IC)~御殿場インターチェンジ(IC)。上りも下りも、いつも大渋滞を引き起こす「魔のエリア」だ。
NEXCO中日本によると、東名高速道路・東京IC~御殿場IC間の渋滞のピークは下り線が5月3~4日、上り線が5日。海老名ジャンクション(JCT)や大和トンネル、伊勢原バス停付近、御殿場IC付近と、一度は聞いたことがある渋滞ポイントで10~30キロメートルを超す渋滞はまだまだ発生する可能性がある。
ただ、今年は10連休になったことで、旅行や行楽に出掛ける人が分散傾向にあるため、例年のような30キロ以上の大渋滞がやや減少。代わって10キロほどの渋滞が増えると予測していた。
さらには、新たに開通した「新東名ルート」が渋滞解消策として期待されていた。「新東名高速の厚木南IC~伊勢原JCT」が3月17日に開通。この区間が開通したことで、厚木南ICから海老名南JCTを経由して海老名JCTへ至る、迂回ルートがつながった。
これにより、これまで渋滞に悩まされていた「海老名JCT~伊勢原JCT」の区間は、従来の東名高速と「新東名ルート」の両方が使えるようになり、混雑が緩和されるというわけだ。
5月2日のテレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」では、この新東名ルートを番組スタッフが走り、東名高速と比較。新東名ルートでは海老名JCT~伊勢原JCT(9.2キロメートル)まで約10分で通過。渋滞の東名高速を走った人は1時間近くかかり、「新東名のほうが早かった」と紹介していた。
「2、3キロ遠回り」をしない心理
だが、相変わらず東名高速は混んでいた。なぜ、新東名ルートが有効に機能していないのか――。東京大学先端科学技術センターの西成活裕教授は「羽鳥慎一 モーニングショー」で、「周知されていないこと」「(開通して間もないので)ナビゲーションシステムに、まだ反映されていないこと」をあげた。
そのうえで、「新東名ルートの海老名~伊勢原の区間は、東名ルートより2、3キロ遠回りになる。本当は『急がば回れ』なのだけれど人間の心理がそうさせない」と説明した。
番組が足柄サービスエリアで利用者に聞いたところ、利用しなかった人は「ナビに反映されていなかった」と答えた。さらに、「標識が出ていないので不安で使わなかった」ともいう。
5月3日放送の「ひるおび」(TBS系)でも、新東名ルートについて取り上げており、この「標識」の表記を問題視。海老名JCTのかかる標識には、「海老名出口」や「圏央道」、新湘南バイパスに通じる「茅ヶ崎」、中央道に通じる「八王子」方面は案内されているのに、「新東名」はない。
海老名JCTの標識には出てこないのは、「新東名」へは海老名JCTから「圏央道」を経由して入るから、らしい。