2015年の通知で「更新」されたはずなのに
署名サイトでの呼び掛け文などによると、選挙公報がネット上にアップされるようになったのは、東日本大震災がきっかけ。震災で住民が避難を余儀なくされ、選挙公報を届けることが物理的に難しくなり、ウェブに上がる動きが加速していったという。
ところが今回、前半の統一地方選が行われた41都道府県の選挙管理委員会のうち、投票終了後すぐに選挙公報がサーバーから削除され、4月16日時点でその数は23府県に増えた(畠山さん調べ)。
これには理由がある。総務省は2012年3月29日付で「掲載期間は投票日当日までとすることが適当」などとする通知を全国の選管に出したからだ。
一方で、選挙公報のネット上への継続掲載をめぐっては、15年5月14日に初鹿明博衆院議員が国会で質問主意書を提出。総務省が掲載を投票日当日までとする理由として、「選挙運動用ポスターに準じた取り扱いとすることが望ましい」としていることについて、初鹿氏は「選挙公報は各候補者の公約が記されており、後日、それが履行されているかどうかを確認するための数少ない材料となるものであるので、顔写真しかないポスターと同列に扱うべきものではない」と主張した。
質問に対し同月22日、安倍晋三首相は大島理森議長宛に答弁書を送付。投票日の翌日以降も選挙公報を選挙管理委員会のホームページに掲載することについては、
「次回以降の選挙に係る選挙公報と混同されたり、選挙の公正を害するおそれのない形式で行われるものである限り、差し支えないものと考える」
と示している。つまり、2012年の通知はすでに過去のものなのだが、にもかかわらず畠山さんは自治体のウェブサイトから選挙公報が削除されている実態について、「(公報を)置いておいても問題はないが削除されてしまう。古い総務省の通知に従って、削除しているんだと思う」とみている。