「巧」のこだわりが集約されている......
会場では、自動運転と電動化の最新技術と製品の展示に、これまでよりも力が入れられていた。最も目立つところにある、燃費を向上させる「高効率エンジンシステム」の紹介を見ると、部品会社といってももはや単なる「部品」だけでなく、トランスミッション制御など様々な制御システム、吸排気、燃料、点火などなど様々なシステムを統合させ、それらを一括して完成車メーカーに供給している存在であることがよく分かる。中国人記者からすれば、その技術には日本の「巧」のこだわりが集約されているように思えた。実際中国の部品メーカー幹部が何人も、日立AMSの担当者に対して、興味深そうに質問攻めにしていた。
同社が進める自動運転システムに関する展示も関心を集めていた。同社中国法人の営業技術部門マネジャー、謝軍氏は私に、「私たちのシステムの最大の売り物はブレーキ制御ユニットです」と語った。その品質がどれだけドライバーの疲労を減らすか、車の事故を減らすかも、熱っぽく説明してくれた。自動運転時代が本格的に到来すれば、こうした先行投資、先行研究が大きな果実を生み、同社の製品が供給される「日本車」の商品価値もさらに高めていくのだろう。
同社は昨年、ホンダと共同出資して、普及価格帯の電気自動車(EV)向け駆動モーターを製造する体制を整えた。資本金の51%を同社が出資して主導権を握り、ホンダ以外のメーカーからの受注も狙う。背景には、中国で今年から、EVなど新エネルギー車の生産を自動車メーカーに義務づける制度が導入されたこともある。需要の一層の拡大が見込まれる一方で、中国の車メーカーは、心臓部の駆動モーターなどの開発、調達が、自前ではできない現実がある。商機なのだ。
日立AMSの17年の全世界の売上高は1兆円を超えた。それだけの規模の「部品会社」は例外的で、この規模があって初めて、大規模生産や大胆な研究開発や投資が可能なのかもしれない。ただ、中国側が及ばない技術やサービスを誇る日本企業は確かに存在し、その優劣は中国市場で的確に評価されるようになっている。それは、規模の大小にかかわらず、また自動車分野に限った話ではないと私は考えている。
(在北京ジャーナリスト 陳言)