天皇陛下は2019年5月1日の即位後朝見の儀で
「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」
と述べた。これまで、歴代天皇の戦争責任に触れることが多かった韓国メディアも、この点には特に注目したようだ。上皇さまが繰り返してきた「平和」を願う気持ちを天皇陛下が継承するとみている。
一方で、政治的な期待を寄せる向きもあるようだ。具体的には、上皇さまが「護憲」で、改憲を進めようとする安倍晋三首相を「けん制」し、それを天皇陛下が継承することを期待する、という考え方だ。
天皇陛下は改憲に「反対する立場であることが知られている」??
とりわけ注目したとみられるのが、「世界の平和」という文言だ。例えば韓国日報は、上皇さまが1989年1月の即位後朝見の儀で
「国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」
と述べたことに言及しながら、天皇陛下も「以前の平成時代のように戦争のない時代を希望したとみられる」と分析している。
また天皇陛下は1960年生まれ。朝鮮日報は、この点について
「戦後に生まれた最初の天皇である。戦争の経験がないので、先祖が感じていた戦争に対する罪悪感から自由な立場」
だとした。天皇陛下の政治的な考え方は知られてこなかったとしながらも、上皇さまが確立した「『平和主義』の伝統を継続するとみられている」とした。その根拠として、天皇陛下が戦後70年にあたる15年の記者会見で
「戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」
と述べたことや、翌16年にも「平和」という単語を繰り返し口にしたことを挙げている。天皇陛下は改憲に対する考え方を表明することは一貫して控えてきたが、同紙は「安倍首相が推進している憲法改正に対しては反対する立場であることが知られている」と主張した。