「おそらく五島氏の創作だったのではないだろうか」
白石重氏は、この本で何度か触れられている。新聞記者出身で、在野の古代史研究家だったようだ。国会図書館に収められた著書『聖徳太子』を確認したが、
「二百歳の後、一人の聖皇があって、ここに遷って都を造るだろう。皇道は興隆し、子孫相続いて旧来の軌範を墜さない。この時こそ都定まって、一般庶民も再び遷都の憂いがなくなるだろう」
とあるだけだ(この記述は「先代旧事本紀大成経」に基づくという。なお「大成経」は一般には、江戸時代の偽書とされる)。
とすると後は、「熊野地方の神道系の太子研究者」なる人物しかいないが、この部分で唐突に登場するのみで、残念ながら「正体不明」と言わざるを得ない。
――と、ここまで調べて、オカルト検証で知られる本城達也さんのウェブサイト「超常現象の謎解き」が、すでにこの件を調査していたことを知った。本城さんはすでに、この「予言」が五島氏の著書以前に遡れないことを確認し、こう断じている。
「つまり一見すごいように見えるクハンダの予言は、その大部分が存在自体、大変怪しいものだったのである。おそらく五島氏の創作だったのではないだろうか。氏がかつて執筆された『ノストラダムスの大予言』と同じようなものである」