総じて小さい各紙の扱い
日本郵政の長門正貢社長は4月22日の記者会見で、「(国の日本郵政株の保有株比率が)5割を切るのは、相応のインパクトではないか」と話し、経営の自由度が高まることに期待を示した。実際、形の上では「3分の1超」ギリギリになれば郵政民営化の完成という歴史的な出来事のはずだが、新聞の扱いは概して小さく、「受け記事」や解説の展開もささやか。計画通りに売れるか、不確定要素はあるにしても、冷淡さが目立つ。
例えば朝日や毎日は売り出しの発表を小さく報じるだけで、共同通信の配信記事をそのまま使っていることもあるほど。やっと23日朝刊で長門社長の会見をそこそこ大きく扱い、今回の売却の意味や課題を書き込んだ。
さすがに、日経はそれなりの扱いで、10日朝刊1面4段見出しで「追加売却へ/民営化へ出資下げ官僚」と書き、中の金融で1ページの4分の1ほどを使って解説記事を載せているが、「民営化 まず形から」と冷淡な見出しを掲げる。
NTTやJTなど民営化の先輩と比べ、「携帯電話が伸びたNTTなどと異なり、日本郵政には柱となる成長事業が見当たらない。しかも過疎地域を含めて全国2万4千局の郵便局を抱える」と、重い荷物を背負っている負の側面に力点を置く書きぶり。ゆうちょ銀、かんぽ生命の金融2社の収益に依存(経常利益の8割)している現状を指摘し、2社の株式全面売却が民営化の真の終点であることを踏まえ、「日本郵政グループとして金融2社の分離まで見据えた長期戦略は描けていない」と切って捨てる。