こうして、国策は敗れた 日の丸液晶JDIを追い込んだ致命的な「読み違い」

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   日の丸ディスプレー「頓挫」の文字が主要紙の紙面に踊った。業績不振で経営再建中の中小型液晶パネルの世界的大手「ジャパンディスプレイ(JDI)」が、台湾と中国の企業連合から約800億円の金融支援を受けることになったことだ。

   発表の翌13日朝刊紙面では朝日、読売、産経などが見出しに大きく「頓挫」と打ち、日経は4日朝刊1面トップの〝前打ち〟記事で「頓挫」の見出しを掲げた。毎日なども13日記事の文中にその文字を使った。日本の官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)は筆頭株主から外れ、外資の傘下で再建を図るという、まさに「国策」が敗れた日だった。

  • iPhoneへの「依存」強かったのが足かせに
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1年で200億円以上消えた現預金

   JDIは2012年、日立製作所、ソニー、東芝の液晶事業を政府主導で統合し、旧産業革新機構が2000億円を出資して誕生した。スマートフォンに使う中小型の液晶パネル市場では世界有数のシェアを持ち、2014年には株式上場も果たした。しかし、その後は中国勢などとの低価格競争で業績が悪化し、2019年3月期まで5年連続の連結最終赤字を計上する見込みで、2018年3月末に809億円あった現預金は、同12月末時点で544億円まで大幅に減少し、出血が止まらない状態だった。

   不振の主因は、アップル依存と次世代の有機ELへの出遅れだ。売上高に占めるアップル向けの比率は、2014年3月期の3割から2018年3月期は5割超まで上昇した。だが、この稼ぎ頭が新型iPhoneの販売低迷で苦戦をしいられていく。特に石川県白山市に1700億円を投じて建設した液晶パネル工場(2016年末稼働)が、大きな読み違いだった。この投資資金の多くはアップルが負担していたが、そのアップルは2017年9月に発表した最上位機種に有機ELパネルを採用。有機ELで出遅れたJDIの液晶パネルの販売量は一段と落ち込み、赤字垂れ流しの構図を自力で変えることは出来なかったのだ。

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