東京・池袋で死者2人、負傷者8人を出した自動車暴走事故を受け、ネット上では「上級国民」とのスラングが飛び交っている。
車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)が現行犯逮捕されず、報道では「容疑者」ではなく「さん」「元院長」などの呼称が使われた。こうした点が疑問を招き、「元官僚」の肩書が逮捕の有無や報道を左右したのではないか、との根拠のない指摘が相次いだ。
さらに逮捕後を念頭に置いて、「褒章があれば減刑されるの?」といった憶測も拡散する。
供述調書に「位記、勲章、褒賞、記章の有無」
旧通商産業省(現在の経済産業省)工業技術院院長で各種企業・団体の重役を歴任した飯塚氏。15年秋の叙勲では経産省の推薦で「瑞宝重光章(瑞重)」を受賞した。
2019年4月19日の事故後には負傷で入院したため現行犯逮捕はされず、警視庁は回復を待って自動運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で任意の事情聴取を行う方針だ。
飯塚氏の逮捕や報道の扱いについての考察はJ-CASTニュースが22日、「池袋暴走『逮捕されない』本当の理由とは 弁護士が指摘する『あえてしない』可能性」の見出しで報じたが、ネット上では社会的地位の高い「上級国民」への不信感が根強い。前述の「疑惑」以外にも、「供述調書」への不満が数多く投稿されている。
犯罪の心構えや手続きを定めた「犯罪捜査規範」によると、被疑者などへの取り調べで作成される供述調書には、経歴、資産、交友関係などのほか、「位記、勲章、褒賞、記章、恩給又は年金の有無(もしあるときは、その種類及び等級)」を明らかにする必要がある。
そのため、「褒章があれば減刑されるの?」「酷い世の中だ・・・」との声が上がり、複数のまとめサイトでも批判的な論調で取り上げられている。