DeNAは2019年4月25日、横浜スタジアムで阪神と対戦し、3-5の逆転負けを喫した。1点リードの9回に守護神・山崎康晃投手(27)が近本光司外野手(24)に3ランを浴びて逆転負け。アウトカウントあと一つと迫ったツーアウトから試合をひっくり返され、チームは泥沼の8連敗。同率5位で並んでいた阪神との直接対決に敗れ単独最下位となり、借金は「5」に膨らんだ。
低迷するチームと迷走する指揮官。その象徴が9回の守備だった。1点リードの場面でアレックス・ラミレス監督(44)は絶対的な守護神をマウンドに送り込んだが、山崎は先頭・梅野隆太郎捕手(27)を四球で歩かせると、続く北條史也内野手(24)のバントを処理する際に一塁へワンバンド送球。これをベースカバーに入った柴田竜拓内野手(25)が捕球ミスし、無死1、2塁のピンチに。DeNAは一塁の判定に関してリクエストを要求するも判定はセーフ。そして次の瞬間、DeNAベンチが動いた。
打席に8番・木浪聖也内野手(24)を迎えたところでラミレス監督は、捕手を伊藤光(30)から嶺井博希(27)に交代。木浪はスリーバントに失敗し、続く鳥谷敬(37)をレフトフライに打ち取ったものの、近本に値千金の3ランを許して万事休す。選手の失策と指揮官の後手に回った采配で、連敗脱出の機会を失った。
「交代させるのなら9回の頭からいかないと...」
指揮官の不可解ともとれる9回の捕手交代劇。他球団の関係者は「交代のタイミングが悪すぎる。交代させるのなら9回の頭からいかないと。あの場面での交代はちょっと考えにくい。ピッチャーに余計なストレスを与えるだけで、ラミレス監督の考えが全く理解出来ない」と首をかしげる。
ラミレス監督は捕手交代について、山崎との「相性」を考慮した上での交代だったと明かしたが、これにも疑問符が付く。今シーズン、山崎は25日を除いて8試合に登板し、そのうち5試合で伊藤がマスクをかぶった。ここ2試合は嶺井が連続でコンビを組み、ラミレス監督の言う「相性」を重視するのならば、山崎が9回のマウンドに上がった時点で嶺井にスイッチしてもよかったのではないだろうか。
4月13日の広島戦で主砲・筒香嘉智外野手(27)が右肘への死球で一時、戦線を離脱した。主砲不在の4月16日の黒星から連敗街道に突入。連敗中、指揮官の試行錯誤は続き、筒香が復帰した19日からは連日打線を入れ替えてのテコ入れを。21日の広島戦では、リーグ初となる「オープナー」制を導入し、中継ぎの国吉佑樹投手(27)を先発に起用したものの、これが完全に裏目に。国吉は1回5安打4失点で降板し、チームは5連敗となった。
「選手にとって精神的ダメージは大きいはず」
投手陣の不調に加え、深刻なのが宮崎敏郎内野手(30)の不振だ。ここまで23試合にフル出場し、打率193.と苦境に陥っている。連敗の期間中、一度は6番に打順を下げ、ここ4試合は5番に復帰したが、4試合で15打数3安打と、2年連続の3割打者が復活の糸口をつかめずにいる。
前出の関係者は「ラミレス監督の采配には迷いが見られる。これが勝っていれば、名采配と言われるでしょうが、こう負けが続くと采配ミスと言われてしまう。昨日の逆転負けは非常に大きかった。あのような負け方は、選手にとって精神的ダメージは大きいはず。チーム状態が心配になりますね」と話す。
27日から巨人との3連戦(東京ドーム)を皮切りに10連戦が待ち受ける。泥沼の8連敗で単独最下位に転落したDeNAが、どこで連敗をストップするのか。指揮官の采配に注目が集まる。