巨人のエース菅野智之投手(29)がまたも苦手神宮で沈んだ。
リーグ首位の巨人は2019年4月25日、神宮球場で2位ヤクルトと対戦し、2-11の大敗を喫した。今季初となる中5日で先発した菅野が、3回にヤクルト打線につかまり大炎上。3者連続アーチを浴びるなど自己ワーストタイとなる12安打を浴びて大量7点を失い4回途中で降板した。首位攻防戦3連勝を狙った巨人だが、エースの大乱調で痛い黒星となった。
神宮での公式戦はプロ7年で1勝6敗
悪夢の幕開けとなった3回、無死1塁の場面で2番・青木宣親外野手(37)に甘く入った131キロのスライダーをライトスタンドに運ばれ先制の2ランを許した。続く3番・山田哲人内野手(26)にはまたもスライダーを打たれ、打球はレフトスタンド中段へ。そして4番・ウラディミール・バレンティン外野手(34)には高めに入ったシュートをレフトスタンドに運ばれた。さらに後続にもタイムリーを許してこの回だけで5点を失い、屈辱の4回途中降板となった。
自己ワーストタイの12安打を浴び、自己ワーストとなる5連続安打、1イニング6安打を許した菅野。1試合に3発の本塁打を許したのも初めての経験となった。菅野はプロ入りからこれまで神宮の公式戦に9試合登板して1勝6敗。昨年のクライマックスシリーズではノーヒットノーランを達成したものの、公式戦の防御率は5.51と極端な数字を残す。今や日本球界を代表する投手である菅野はなぜ神宮で勝てないのか。昨年までヤクルトのコーチを務めていた野球解説者の野口寿浩氏(47)は次のように語った。
「小高い丘の上から投げているようだ...」
野口氏は菅野が神宮を苦手とする要因のひとつとして、神宮の特徴的なマウンドを挙げた。神宮はグランド全体が複雑に傾斜しており、マウンドの傾斜が急であることで知られる。野口氏は「私がコーチ時代、ヤクルトの投手は神宮のマウンドは距離感がつかみにくいと言っていました。小高い丘の上から投げているようだと。左右、そして奥行きが下がって見えるという投手もいました。あくまでも私の推測ですが、菅野投手はこの独特の神宮のマウンドがしっくりこないのではないでしょうか」と話した。
菅野に限らず、神宮を苦手とする投手は少なくない。その要因はそれぞれ異なるだろうが、特殊なグランドの傾斜とマウンドが要因のひとつになっている可能性もあるだろう。野口氏は「ヤクルトの投手で神宮のマウンドを完全に自分のものにしているのは石川(雅規)投手。本拠地の投手陣が苦労しているくらいですので、他球団の投手が神宮のマウンドを克服するのは難しいと思います。大学時代に神宮で投げている投手ならば慣れているかもしれませんが、プロで初めて神宮で登板する投手には難しいマウンドかもしれません」と指摘する。
今季初の中5日登板となった菅野の次戦は、同じく中5日でいく予定。新元号の令和初日の5月1日の中日戦(東京ドーム)での先発が見込まれている。チームは今季最多となる18安打を許して11点を献上し、連勝は「5」でストップ。2位ヤクルトに1.5ゲーム差をつけて首位を走るなか、ゴールデンウィーク10連戦で首位固めに入りたい原巨人に、エースの復活は不可欠だ。